2016年1月28日
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CS向上を経営貢献に繋げるための4つのポイントとして、前回はリピートの種類やCSとリピートの関係性についてひも解いてみました。そこで今回は、最後の「サービスを誰かに勧めたいと思っていただくこと」についてと、CS向上を経営貢献に繋げるための方法論について触れてみたいと思います。
リピートとオススメは別物
他者推奨や顧客紹介と聞くと、少し馴染みのない企業もあるかもしれません。例えば法人向けサービス会社の場合、あえてこの観点で議論や取り組みをしていないかもしれません。しかし、このテーマに馴染みのない業界や企業ほど、この観点で取り組みをしてみると、今までにないアイデアが出てきたり、他社に差を付けるきっかけになることが実に多いものです。是非一度議論してみて頂くと価値があると思います。
さて、「サービスを誰かに勧めたいと思っていただくこと」これは、リピーターやファンのお客様に、リピートしていただくだけでなく、次のお客様を連れてきていただこうというものです。これは、もちろん簡単ではありません。「紹介してくれませんか」とお願いしたり、紹介カードを渡すだけでは、大事な友人やビジネスパートナーにお勧めしようと思いません。前回触れたように、リピートしていただくためには大満足あるのみなのですが、お勧めしていただくためには、「大満足」だけではダメだということになります。ではどうすれば良いのでしょうか。
それは、大満足に加えて、「面白さ」や「驚き」「友人に対して鼻が高い(優越感)」などの付加要素が必要です。
例えば外食店で、あえて料理が器からはみ出すように迫力ある盛り付けをしたところ、それが話題になってお客さんがお客さんを連れてきてくれるようになったという具合です。法人向けサービスでは、クライアントがサービスを利用して出した成果を、自慢したくなるような資料に仕立てたことで、社内の他部署や業界内の他社を紹介していただくきっかけになったという事例もあります。
最近は、クチコミサイトやソーシャルメディアが普及したことで、不特定多数へクチコミ情報を発信しやすい状況になりました。このクチコミは、大切な友人を紹介するというほどのものではありませんが、クチコミ情報を見ることで、1つ目のステップである「サービスを受けたい」と思っていただけるお客様が増やせる可能性は大いにあります。
リピートと他者推奨は別物である点を踏まえた上で、お勧めしたいと思っていただくことをテーマに取り組みをしてみる価値はあると思います。
プロセスモデルにドッキングする
今回ご紹介したように、CSを経営貢献に強力に結びつけることで、顧客満足の向上は建前ではなく、極めて重要で価値のある取り組みになります。そこで、これらの観点をサービスの設計に盛り込んで、組織一丸となって体現することが重要です。そこで効果的なのが、以前ご紹介したプロセスモデルに経営貢献の観点を追加して、サービスを設計することです。
*プロセスモデルについては、当連載「CS向上を科学する 第10回」をご覧ください。
具体的には、サービスプロセスのモデル化をする際に、どのプロセスが「サービスを受けたいと思っていただく」「再度サービスを受けたいと思っていただく」「サービスを誰かに勧めたいと思っていただく」のいずれかに強力に結びつくかを明記します。これをすることで、たくさんあるサービスプロセスの中で、特にどのプロセスに注力することで、成果に直結するCS向上やサービス向上が進められるかがハッキリします。サービスの現場は常に忙しさとの戦いなので、すべてのプロセスを今まで以上に頑張れと言われても、できないことが多いと思います。「努力のポイント」と「やらなくて良いこと」のメリハリあるサービスを設計することが大切だと思います。
さて、今回ご紹介した4つのポイント「サービスを受けたいと思っていただく」「サービスで喜んでいただく」「リピートしたいと思っていただく」「誰かに勧めたいと思っていただく」について、もし今までこういった視点で議論や取り組みがされていなければ、むしろそこに伸び代があると捉えて、是非実務に活かしていただけたら幸いです。
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<筆者プロフィール>
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松井 拓己 (Takumi Matsui) 松井サービスコンサルティング 代表 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト |
サービス改革を専門として、サービスサイエンスに基づいたサービス改革やCS向上の支援や研修を行っており、これまでに業種・業界問わず数々の企業の支援実績を有している。 |