2024年7月8日
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現在、第5回日本サービス大賞の応募期間の真っただ中。コラムを読んでくださっている方の中にも、応募の準備中という方がいらっしゃるかもしれないですね。応募用紙を書くだけでも、自社サービスの目に見えない価値が整理されて、伸びしろも見つかると思いますので、是非じっくりと取り組んでみていただけると良いのではと思います。事務局による個別相談会も設けられているようなので、悩んだら活用してみていただくのも良いと思います。(第5回日本サービス大賞について、詳しくはこちら)
先に応用の仕方について
さて今回は引き続きサービスモデルマーケティングについて、取り組み方の簡単なガイドをしたいと思います。日本サービス大賞においても自社サービスの優越性(他に比べてどこが優れているか)や革新性(これまでに比べてどこが新しいのか)を明快に示してみてください、というメッセージが発信されていました。
今回紹介するワークシートは、事例分析用として説明しますが、シートの左右で「自社と他社」やサービスを生み出す「前と後」を比較してみると優越性や革新性がクリアになります。もちろん日本サービス大賞への応募の有無に限らず、皆さんのサービスの優越性や革新性を高める取り組みのヒントにしていただけたら幸いです。
サクッとワークシートを使ってみよう
それではサービスモデルマーケティングの第一歩として、サービス事例の価値を象徴する「事前期待の的」を分析してみましょう。できれば価値を実現するための「サービス設計のキーポイント」も分析してみると良いでしょう。「業界が違う事例だと、何を学んだら良いか分からない」、「異業種は自社の業界と事情が違うので参考にならない」と思うかもしれませんが、サービスの本質を捉えて分析することができれば、業種や業界の枠を越えて、自社で活かせる気付きが得られるはずです。
参考までに、簡易的なワークシートの使い方を解説します。ワークシートの左側が分析対象の事例を書く欄、右側は一般的なサービス・競合他社の事例を書く欄となっています。このように分析したい事例を"普通のサービス"と対比させることで、その価値やそれを生み出すプロセスのどこが優れているかが見つけやすくなります。
いきなり事前期待の的を分析せよと言っても難しいので、まずは「サービスの特徴」を書き出してみましょう。思いついたことからどんどん書き出して、その特徴のなかでも右側(一般的なサービス)との明確な違いがあるものを強調していきます。その違いを意識しながら事前期待の的を考察するという順番で進めてみてください。事前期待の的についても、まずは候補をたくさん挙げてみて、顧客にとって価値のあるものに着目してみましょう。当然ですが、顧客にとって当たり前な事前期待にいくら応えても"当たり前のサービス"でしかないので、左右の対比から、一般的なサービスとの違いを象徴するような事前期待を見つけてみてください。他では応えられないものを的にしているからこそ、このサービスは差別化され、顧客が集まっているのではないだろうか、という着眼点で分析するのです。
事前期待の的を明確にした後は、それに応えて共創を実現するための「サービス設計のキーポイント」を紐解きます。これは事前期待の的をしっかり考察できていれば自ずと浮き出てくるため、さほど難しくないはずです。たくさん挙がった場合はここでも、価値共創に欠かせないものやこのサービス特有のものをピックアップしましょう。その工夫がなければ"普通のサービス"に成り下がってしまうポイントがあるはずです。これらが分析できたら、最後の仕上げとして、自社で活かしたいポイントを抜出してサービスモデルに取り入れるという具合です。
是非、業種・業界を越えて様々なサービスから、自社サービス進化の糸口を見つけてみてください。
松井氏が講師を務めるイベント情報
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<筆者プロフィール>
松井 拓己 (Takumi Matsui) 松井サービスコンサルティング 代表 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト |
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サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。 |