2021年9月10日
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いよいよ今年度は、第4回日本サービス大賞の開催となります。ライフスタイルやワークスタイルの大きな変化の過渡期にある今、サービスの進化が加速しています。一方で、サービスの本質的な価値が問われるようにもなっています。さて今回はサービスイノベーションの最前線といえる日本サービス大賞で、どのようなサービスが注目を集めるのか、とても楽しみです。
日本サービス大賞とは
日本サービス大賞は、日本初、日本最高峰のサービスの表彰制度として、2015年にスタート。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、経済産業大臣賞、総務大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞、地方創生大臣賞、JETRO理事長賞など、国内のすべてのサービス事業者を対象に、革新的で優れたサービスを幅広く表彰しています。
日本サービス大賞の概要はこちら
第1回からこれまでに表彰されたサービスはトータルで79件。その内訳は、農林水産、製造、卸売・小売、運輸・交通、建築・不動産、管理、清掃、医療・福祉・保育、金融、保険、エンターテイメント、旅行・観光、生活、飲食、食品、教育、情報・通信、人材派遣、シェアリングサービスなど、実に幅広いジャンルから選ばれており、地域や事業規模、知名度もさまざまで、BtoCのみでなく、BtoBサービスもあります。このように業種横断で評価され日本サービス大賞を受賞したサービスは、まさにその時々の 「日本のサービスイノベーションの最前線」を示すものだと言えます。
前回の受賞サービス
前回の第3回 日本サービス大賞には、762件もの応募があり、30件のサービスが表彰されました。トップ賞である内閣総理大臣賞には、初めて製造業であるコマツのスマートコンストラクションが輝きました。他にも、経済産業大臣賞には介護シューズ製造の徳武産業が、JETRO理事長賞には機械部品調達をデジタルトランスフォーメーション(DX)したサービスであるミスミのmeviyが、優秀賞にはシューズメーカーのアシックスの足形計測サービスが表彰され、モノづくり領域の優れたサービスが存在感を示していました。
また、第3回の開催は、新型コロナウイルスの感染拡大と重なりました。そんな中で、力強く付加価値を発揮するサービスとして、医療業界からAI問診サービスのUbie、ファンの熱量を可視化して、アーティストのon-lineによるファンクラブ運営を実現するSKIYAKIのbitfanなど、テクノロジーを活かしたサービスも表彰されています。
他にも、農業に関わるサービスや、アート領域のサービスなど、優れたサービスのすそ野が広がっていることを実感します。
価値共創のサービスモデルで捉える
日本サービス大賞は、多種多様なサービスを価値共創の「サービスモデル」という共通の尺度で評価している点も非常に画期的です。よく注目される「ビジネスモデル」が、事業者を主語にしていかに儲けを生み出すかの設計図だとすれば、「サービスモデル」は事業者と顧客の双方を主語にして、いかに価値を“共創”するのかの設計図といえます。
サービスモデルや価値共創とは何なのか?については、別の機会に詳しく取り上げることとしますが、自社のサービスモデルを考えるための観点を、当コラムで取り上げてきたキーワードを使って簡単に捉えると次のようになるのではないかと思います。
・どんな価値があるサービスなのか(どんな事前期待に応えるサービスなのか)
・どうやって価値共創しているのか(事前期待にどんなサービスを組み立てて応えているのか)
・どうやってサービスを進化させているのか(サービスの進化はマネジメントとして持続可能か)
・このサービスによって、事業としてどんな成果が生まれているのか
・このサービスによって、地域や社会に対してどんな波及効果が生まれているのか
これからの新時代に、我々はどんなサービスモデルで挑んでいくと良いのでしょうか。日本サービス大賞で表彰される優れたサービスは、具体的にどのようなサービスモデルなのでしょうか。第4回日本サービス大賞で、新時代を切り拓くサービスイノベーションの最前線として、どのようなサービスに出会えるのか、どのような気づきと勇気を頂けるのか、とても楽しみですね。
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<筆者プロフィール>
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松井 拓己 (Takumi Matsui) 松井サービスコンサルティング 代表 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト |
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。 |