2019年7月8日
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いよいよ今年度は、第3回日本サービス大賞の開催となります。第1回、第2回と顔触れの異なるサービスが表彰されてきました。今回はどんな日本の優れたサービスが選出されるのかとても楽しみです。
「日本サービス大賞」は、日本初、日本最高峰のサービスの表彰制度として、2015年よりスタートしました。業種や地域、規模を越えて日本の優れたサービスにスポットライトをあてることで、サービスで日本経済をもっと元気にしていこうというものです。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、地方創生大臣賞、サービスを管轄する各省の大臣賞、JETRO理事長賞および優秀賞を選出します。第1回目には31件、第2回目には18件の優れたサービスが選出されています。表彰式の様子は様々な形でメディアに取り上げられたため、ご覧になった方もいらっしゃるのではと思います。
日本サービス大賞の概要はこちら
日本のサービスイノベーションへの期待
表彰式では、安倍晋三内閣総理大臣と、第2回まで日本サービス大賞の委員長を務めた一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏より、こんなメッセージがありました。
(安倍晋三内閣総理大臣)サービス業の生産性は、長年にわたって伸び悩んできました。このピンチは、日本経済全体の生産性革命の大きなチャンスです。日本のサービスは、国際的に高い競争力を持っています。日本サービス大賞をいつの日か、サービス分野のワールドカップにしたいと思っています。どうか皆さんには、日本の生産性革命を力強くリードしていただきたいと思います。受賞者の皆様のこれからのご活躍、大いに期待しております。
(野中郁次郎氏)表彰されたサービスは、日本が世界に誇れる素晴らしい取り組みばかりでした。本賞を通じて優良事例の発掘と展開を続けることが、サービスイノベーションを促し、まさに、アート・アンド・サイエンスを総合する、日本経済の成長につながると確信しています。
日本経済のさらなる成長のために、全産業におけるサービス改革推進への期待が高まっているといえます。
サービス改革に秘めたストーリー
幸いにも、「日本の優れたサービス」シリーズを執筆させていただくにあたり、第1回、第2回の日本サービス大賞を受賞したサービス事業者の方々から色んなお話を聞かせていただくことができました。そこには、壁を乗り越えるサービス改革のストーリーがありました。
「あのとき、諦めなくてよかった。」
優れたサービスが生まれてくる過程で苦難を乗り越えてきた事業が多くありました。それは、サービス改革でどの企業も直面しそうな出来事ばかりです。苦労話とともに、仲間と受賞の喜びを分かち合う姿には、心打たれるものがありました。
「自分たちのような無名な会社でも評価していただき、努力は報われると確信できました。」
そう語ってくれた社長の会社は、受賞がきっかけとなり日本中からオファーが集まり、事業モデルを全国に展開することになりました。業界や規模、知名度にかかわらず横串で評価することで、優れたサービスにスポットライトがあたり、活躍の場が広がっていく。そのきっかけづくりも、日本サービス大賞は担っているのだと実感しました。
「応募内容を書き上げるだけでも価値があった。自分たちのサービス事業を体系立てて整理できて、これからのサービス事業の課題や方向性が見えてきた。」
と、危機感や使命感を込めて話してくださった方もいました。日本サービス大賞へのチャレンジ自体が、サービス事業のステージアップに踏み出すきっかけとなったというのです。
日本経済のターニングポイントをリードする
今後の日本経済は、人口減少にともなう市場の縮退と人手不足が深刻化しています。2015年時点で約400万社ある日本の企業数は、2040年までに300万社に減少するとも言われています。4社に1社が姿を消すほどのきびしい競争環境の中で、真に価値があり競争力のあるサービス事業でなければ淘汰されてしまうのです。
これからの時代は、個人的な経験やセンスに頼ったサービス経営で生き抜けるほど甘くはありません。サービスの本質を捉えて、組織的に成長力や競争力を高められるような、強いサービス事業にステージアップするときが来ているのです。
日本サービス大賞がこの時代のトップランナーにスポットライトをあてることで、壁を乗り越えるサービス事業変革のガイドになるのではと思います。そして、日本経済の大転換期をイキイキと乗り越えていくサービス事業へのステージアップのきっかけになるのではと思います。
※参考書籍はこちら
【新刊】日本の優れたサービス2~6つの壁を乗り越える変革力~
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【既刊】日本の優れたサービス~選ばれ続ける6つのポイント~
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<筆者プロフィール>
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松井 拓己 (Takumi Matsui) 松井サービスコンサルティング 代表 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト |
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。 |