2019年1月11日
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“労働力喪失時代における持続可能な社会経済システム 『スマートエコノミー』の実現をめざして”と題して、サービス産業生産性協議会から提言が発表されました。これは、人口減少に伴う生産年齢人口の急減を目前に控えた日本の喫緊の課題である生産性向上に向け、社会経済システムの 再構築と経営戦略の転換をめざすべく、まとめられた提言です。サービス改革やCS向上に熱心な事業者の方々にとって、とても興味深い内容だと思います。今回はこの中から、当連載テーマに関連しそうな印象的だった点や所感を共有させていただき、これからの時代のサービスビジネスやCSの在り方を一緒に考えたいと思います。(提言の詳細はこちら)
2040年までに日本企業の1/4にあたる100万社が消失する
人口減少は日本経済の大きな課題であり、なかでも生産年齢人口の減少は人口の1.5倍以上の速度で進むと言われています。つまり今後の日本経済は、需要の縮小と労働力の喪失が加速することで、多くの日本企業は存亡の危機を迎えることになります。
提言の中にこんな推計が掲載されています(出所:財務省財務総合政策研究所 『フィナンシャルレビュー』2017 年 6 月、131 号)。これによれば2040年までに、現在、約400万社ある企業の約25%にあたる100万社が姿を消すというというのです。
これから先、企業の生存競争が激化する中で、日本経済の大部分を占めるサービスの生産性向上の必要性は高まります。まさに、サービス戦国時代に突入するのです。
このサービス戦国時代を生き抜くために、サービス事業としてどうしていったらよいのでしょうか。提言されている具体策の中から、いくつか取り上げて考えてみたいと思います。
勘と経験のサービス経営から抜け出す
このサービス戦国時代は、これまでの勘と経験に頼ったサービス経営で生き抜けるほど甘くはありません。サービス事業の推進者自身が、サービスの本質を理解せずに、個人的な価値観と経験知のみで、サービスビジネスをマネジメントする時代ではなくなるのです。精神論や個人芸に頼り切るのではなく、本質を捉えてサービスの価値を向上し、組織的に事業の成長力や競争力を高められるような、強いサービス事業にステージアップすることが欠かせません。そこで、提言ではサービソロジー(サービスに対する科学的・工学的アプローチ)やサービスデザインを経営に活かすべきだとしています。まさに当連載で紹介してきたサービス科学やCS科学が、今まで以上に読者の皆様にお役立て頂けたらと思います。
他にも、サービスの研究開発や、人材育成へのテコ入れとともに、サービス経営の軸を大きくシフトすべきとの提言もされています。次回はこの点について取り上げてたいと思います。
※参考書籍はこちら
日本の優れたサービス~選ばれ続ける6つのポイント~
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<筆者プロフィール>
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松井 拓己 (Takumi Matsui) 松井サービスコンサルティング 代表 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト |
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。 |