受賞の観点
魅力的な観光メニューの創出で、まち全体に貢献する旅
提供サービス
有馬温泉における「食の魅力づくり」や、温泉入浴と昼食をセットにした「ランチクーポン」の発売、廃業した旅館を利用した有馬玩具博物館の開館など、まち全体の活性化に貢献する「泊食分離」型の観光メニューや新しい観光スポットを中心となって創出している。
ハイ・サービスのポイント
バブル崩壊以降、宿泊・観光市場が個人客に移行していく中、いち早く個人客をターゲットにした個性的な温泉旅館づくりに取り組み、新たに食の魅力を創造するための食材の地元仕入れの強化や農業法人の設立による温泉全体の活性化を牽引するなど、地域の力を引き出す積極的な手法に長けている。
- バブル景気の頃までは宿泊観光は団体客が中心であったが、御所坊では早くから個人客をターゲットにし、客室を減らすことで一室の広さのゆとりを確保するなど落ち着いた温泉旅館づくりを行った。その結果、バブル崩壊後に他の旅館が宿泊客数を減らしたにも関わらず、売上高を大きく伸長。
- 阪神大震災後、昼食の提供がきっかけとなり、有馬温泉の3分の1の旅館が参加して、日帰り温泉「ランチクーポン」を企画・販売し、昼の集客数、売上向上に貢献。「泊食分離」の取り組みとして、素泊まり、宿泊・飲食プラン(部屋・料理の選択制)、外食プランなどを提供するとともに、従来の人形筆や炭酸せんべいに加えて、「有馬鉱泉」で造られたサイダーなど新たなお土産の商品開発により、土産物店を活性化。また、有馬玩具博物館を開館するなどで、町の賑わいづくりに貢献した。
- 個人客の旅行スタイルがパック型から泊食分離型に移行しつつある中、有馬温泉には名物料理がなかったため、町の魅力作りの一貫として「食」の魅力の向上に取り組む。兵庫県がわさびの発祥の地であるということから「日本一のわさび漬けづくり」や、季節ごとに食材産地と連携した企画を打ち出す「有馬美食倶楽部」の立ち上げを行った。「有馬美食倶楽部」の取り組みの第1弾として、2006年には浜坂産の松葉ガニの直送仕入れによるカニ料理の提供をスタートし、2008年のシーズンには有馬温泉のほぼすべてに当たる約20軒の旅館で浜坂産の松葉ガニを生かした料理プランを売り出し美食倶楽部を順調にスタートさせた。また兵庫県安富町と組んで、有馬の柚子胡椒の商品化にも取り組む。
- 「日本一のわさび漬けを作って、まちづくりをする」という流れから、わさび漬けを食べる際に欠かせないおいしいご飯を作るために、2001年「グリーンパパ」を設立。米の生産を主に、生ごみを肥料にする環境への取り組み、農村への宿泊、さらに野菜菜園を作り、取れたて野菜中心の食事を組み合わせた新たな体験型の観光メニューを育成中。
- 国内の各国際空港から2時間以内でチェックインできる温泉旅館は有馬温泉だけという利点を活かして、外国人旅行者の誘致活動を強化。観光マップ、ホームページなど観光情報を多言語で発信し、外国人向け観光プログラムを作成。外国人おもてなしセミナーも実施し、国際競争力のある観光地づくりを推進。
- 様々な施策により、有馬温泉への入込客数は、約102万人(平成7年)から約159万人(平成17年)に増加している。
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