受賞の観点
自社の特性を活かした独自の工夫で効率化と生産性の向上を実現
提供サービス
1997年、「安心」「カジュアル」「フレッシュ」をコンセプトに設立された小型機の運航会社で、大阪伊丹空港発着便を中心とした国内線地方路線運航を主業務とし、小規模路線や地方空港同士を結ぶ路線中心の運航を行っている。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、企業規模の小ささと小型機ならではの特性を充分に活かした効率化やコスト削減の徹底で、多くの領域で業界の水準を超える業務改善を達成した点にある。また人材育成策と情報の共有策を並行して推進し、業務改善を支えるモチベーションの高い組織づくりを実現している。
- 1990年代の半ばから航空業界の自由化が始まり、JALグループにおいても国内・地方路線への取り組みが迫られたが、JAL本体は国際路線、長距離・大型機材を中心とした体制であり、そのノウハウを国内・地方路線に当てはめようとすると様々な面で無理やムダが多かった。そこで競争時代に合った仕組み、徹底した効率化等により、採算性の厳しい地方路線においても健全、安定的な運営を目指して同社が設立された。
- 空港運用の制限から、JALが持つ小型機の標準的なグラウンドタイム(フライト間の駐機時間)35分を適用すると十分な便数を確保できなかったため、この短縮に取り組んだ結果、機内清掃を客室乗務員が担当することで、グラウンドタイム25分を達成するだけではなく、セキュリティーチェックが同時にすむなど、大幅な効率化と時間短縮が行われ、伊丹・九州間を3往復から4往復に増加させ、3割以上の生産性向上を実現した。また機内用品の簡素化により、機体の軽量化、燃費の向上も同時に達成。
- トヨタのカンバン方式を研究し、個々の業務だけでなくバックオフィスを含め社内全体の効率化に取り組み、業務の改善案を出し合うなどの活動を実施。
- 当初、機内研修の設備は東京にしかなく、研修のための費用がかさんだため、訓練用モックアップを製作することで研修費用を圧縮。製作費は徹底的なローコスト化によりJAL本社の1/4の水準を達成し、東京での1年間の研修費相当ですんだ。
- 効率化の追求と同時並行して、社内情報の共有化にスピードアップも含めて取り組み、マニュアルの整備だけでなく、事例集の作成やミーティングにおける若手乗務員の指導など、「暗黙知の見える化」を推進。
- 機内誌編集も乗務員が自ら行うなど、職掌範囲を広げ、モチベーションの向上につなげている。若い社員にも仕事を任せ、全員参加型の業務態勢をつくるため、客室乗務員にはキャリアパスの明示を行い、その早期化にも取り組んでいる。
- 様々な取り組みで経費率削減とサービス性向上を実現させ、JAL/JAS統合時にもグループ戦略の要となった。5年連続で国内航空会社における定時運航率1位を獲得し、JALグループ内における顧客満足度調査では常に高評価を獲得している。
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