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リーダーの声

2015年5月18日

株式会社ナビタイムジャパン 代表取締役社長 大西 啓介 氏

~サービスイノベーションの新潮流と

価値共創型ソリューション~

    

 

私は大学の博士課程から経路探索の研究を30年やってきました。大学発ベンチャーは、日本ではあまり例がありません。大学で研究してきた事を地道にずっと積み重ねて、ナビゲーションサービスを日本だけでなく海外にも展開しています。

利用者の時間の使い方を変える
我々がナビゲーションをビジネスにしようと考えたのが約20年前、カーナビがようやく普及し始めた頃です。電車、飛行機、車、バスと、全ての移動手段のナビゲーションを1つのアルゴリズムで行うという、世界唯一の技術に挑戦しておりました。それが具体的に出来たのが、1998年頃になります。このアルゴリズムが、人が移動する時の全てのナビゲーションをするわけです。世界中どこに行くにも目的地を入れるだけで安心なルートを提供出来る、つまり人生限られた時間の中で迷ったり探したりする時間を、有効な時間として活用出来るのです。我々の調査では、初めて行く場所を調べる際に、地図サイトで探したり迷ったりする時間が平均20数分かかるという結果が出ています。ナビタイムだとボタン1つで、様々な移動手段を組み合わせて、最適なルートの情報が出てきます。ナビタイムを使っている人と使ってない人では寿命がほぼ1年くらい延びるのと同じ事が出来ます。これは是非世界中の人に使っていただきたいと、2000年に会社を作った時にナビゲーションと時間の概念を折り込んで「ナビタイム」とし、この技術とサービス精神を全世界中に届けようという事で、ナビタイムジャパンという社名になっております。更に既存のインフラ、鉄道網の渋滞情報だけを出すのではなく、我々の技術で公共交通そのものが最適化出来るよう、これから取り組んでまいります。
 
ナビタイムジャパンのサービスと技術
ナビタイムは携帯、スマートフォンで色々なサービスを行っており、国内の利用者数は2600万人になります。日本の方は5人に1人、月1回はナビタイムをご利用いただいているという事になります。もう1つビジネスでいうと、乗り換え無料サービスなど色々ありますが、付加価値をどんどん追求し、きめ細やかなサービスで「有料でも使いたい」と言っていただいている方が約400万人です。おそらく有料のサービスでは、日本だけではなくて世界でも1番多いユーザー数かと思います。事業でも、ナビゲーションに特化した経路探索のアルゴリズムを使ったビジネスを、日本だけでなく全世界に広めていこうと取り組んでおります。
 
 
1番骨格となるのが、トータルナビゲーションという技術です。世界で唯一、様々な移動手段のリアルタイムな情報、渋滞情報や鉄道遅延情報を考慮し、更にその日その時刻その場所でその人にとって最適なルートの提供が実現出来るのです。電車のルート検索では何番ホームのどのあたりが目的の出口に近い、などの細かいデータを作っています。更に最近は屋内、日本中の複雑な駅の中まで全て、広範囲で自社で地図を作成してナビゲーションしております。実はITというのは、こういった地道なデータを作っていく事です。その上で最新のアルゴリズムを動かし、付加価値の高いサービスが出来ている事が好循環に繋がっていると思います。
 
自動運転、物流サービスへの応用
今自動運転というのが始まっていますが、最終的にはナビゲーションがブレーンの役割になり、車のドアを開けたら、行き先を告げるとそこへ勝手に行ってくれる、という事が現実に起こってくるわけです。そうなった時に音声認識での会話がかなり重要ですが、既に「カーナビタイム」というカーナビアプリでは、驚く程の認識率とスピードで、ほぼ日常会話くらいのスピードでやり取り出来る所まで来ています。
法人向けサービスとして、例えば運送会社でも、スマートフォンを車に置くだけで自社の配送車の居場所がリアルタイムにわかります。それだけでなく、ドライバーに「次ここに荷物を取りに行って欲しい」とスマートフォンに目的地を送るだけで対応できます。それによって電話のやり取りも不要になり、業務効率がかなり上がったというお話も聞きます。台風で配送が遅れても、倉庫で待つ側もトラックの居場所がわかり、受け入れ体制を整えやすく非常に人気があります。到着時間も、ナビゲーションがあるので目的地までの計算が我々の方で出来てしまうのです。予想時間の前後5分以内に到着する確率が90%以上ですので、ほぼ信用出来ます。この技術により、物流でもだいぶスマートフォンによる革命が起きてきていると実感しております。いずれ宅配便もこうなります。巡回経路探索という機能では、ナビタイムで経路探索をすると各ドライバーの最短ルートを辿ります。それによってあなたのお宅には何時何分に着きます、と30分前、もしくは、ルート検索した時にお知らせメールを送る事が出来ます。宅急便は18時~20時に届くなど時間帯の幅が広いため、だいたいの到着時間を知りたいというニーズに応えようというものです。今、到着の5分前にはメールが届くようなサービスも出来てきています。
 
今後の展望~交通の最適化
今後の展望として、交通の最適化という提案をしています。あらゆる検索履歴や走行データをデータベース化して、様々な形で世の中のお役に立てればと思います。例えば出発駅と目的駅を入力し検索すると、ヒートマップにより駅に移動が集中する場所を赤と白で見つける事が出来ます。通常は新宿駅や東京あたりに集中するのですが、コンサートなどがある場合、普段はあまり検索されない駅に移動が集中したりします。検索時には到着時間を設定するので、何時にどのくらいの人が降りるのかが、だいたい予想出来ます。例えば5時にここでコンサートがあり、分析すると殆どが4時到着にしています。更に9時に移動が集中する山があって調べると、グッズ販売が10時からという事までわかるのです。それも前日までに検索している人が半分なので、ナビタイムでは明日の駅の乗り降り人数の大体の予想がつきます。未来の人の移動がわかる、こういったものもデータ化して全世界で活用していただきたいと思います。
もう1つ公共交通の最適化という観点から、我々が経路探索しますと、駅に着いたらバスが行ってしまった、バス停が遠かったなど、乗り継ぎが悪い所がよくわかってきます。そういった問題がなくなるように自治体の方に話をして、最適化出来るようにしています。まだ一部の地域ですが、これも是非全国規模でやっていきたいと思っております。 
  
 
今後の展望~訪日外国人向けサービスの拡大~
次に、月100万人を超える訪日外国人向けの取組みですが、現在英語のナビゲーションサービスが殆どなく、ナビタイムで出しているジャパントラベルくらいです。これは地図、乗り換え、路線図などのトータルナビゲーションを提供しており、2013年から始めて20万ダウンロードされています。分析しますと台湾、香港、タイが多く、どこから来た人がどういうルートを歩いているかがわかるのです。
「日本に来た時1番困ったのは何か」と、アンケート調査をしたところ、通信価格が高いので、まず無料のWi-Fiスポットを知りたいという事でした。そこでNTTと提携してフリーのWi-Fiスポットを集めて、ナビタイムのアプリで使えるようにしました。渡航前にダウンロードして、成田空港や関西空港に着いた時点で、オフラインで無料スポットが検索出来ます。カメラを起動してスマートフォンを街に向けてかざした時に、無料Wi-FiスポットがARとして見られるのです。これはかなり使っていただけるようになりました。
そして、せっかく日本に観光に来て、情報を知らずに帰ったという事が多いそうです。日本での情報配信について、様々な観光情報などを各自治体からいただき、それを観光客の方にお知らせする事を考えています。色々な所をご案内して、観光地を活性化する。我々の方ではどこに行ったかという事をデータとして分析し、自治体に返して、またそれが経済の活性化に繋がる。こういった循環を今後はやっていきたいと思います。データの提供、コンサルティングと、実際の情報提供の好循環を作って、各自治体や観光地の充実にも貢献していきたいと思っております。
 


(SPRINGシンポジウム2014in京都にて)