2014年11月6日
「カスタマーエクスペリエンス」~顧客との接点を磨く~
リッチモンドホテルの概要
アールエヌティーホテルズが経営するリッチモンドホテルは、1995年に東大阪に1号店が誕生してから20年目の節目を向かえました。現在は北海道から沖縄まで直営33店舗・6,713室のホテルチェーンとなりました。「ひとと自然にやさしい、常にお客さまのために進化するホテル」という経営理念のもと、ひとりひとりが成長する「全員経営」「自由闊達」の組織です。自分自身で物事を判断し、お客様に喜こびをお届けする経営者的意識が全スタッフにあります。順調な売上高、経常利益に伴い稼働率は昨年86.4%、RevPAR(1室あたりの収入金額)も堅調です。人財の価値を丁寧に創り上げ、お客さまに満足と感動を感じていただける21世紀型のホテルを創り経営をしてまいります。
「お客様に満足・感動を感じていただくこと」
我々のビジネスは、ストックビジネスでありフロービジネスではありません。明日の稼働率をきちんとつくるために、何をするかということを重視し、フロントスタッフがチェックインの時に会員へのご入会を丁寧に勧めています。年間約6万人の入会増、今年中には60万人になります。宿泊後の顧客へは、定期的なメルマガや誕生日の小さなサプライスなどを継続的なリレーションに努めています。震災の時も翌月4月には前年稼働率を上回りました。そのこともファン(会員)の支えがあるからです。
ファンのため、きめ細かい接遇研修(リッチモンドアカデミー)を設けて接客スキルのレベルアップをはかっています。
(フロント)
「絶対的価値」「相対的価値」
ハードの古いホテルほど一般的に評価は低いものです。どこのリッチモンドに泊まっても同品質になるよう、お客様の立場になって投資しています。冷暖房フリーにするだけで一棟あたり数億円の投資が必要です。先送りすることで価値が下がり顧客は離れていく。だからこそ計画的に実施しなければいけないのです。Wi-Fi、ベットコンセント、置き時計もお客様視点でご自宅以上に使いやすいように整備し、寛ぎ感を高めるため改装も計画的に行っています。
朝食も、外食レストランチェーンを母体にもっているホテルチェーンという強みを生かして、地産地消を意識しバラエティのある楽しいお食事を提供しています。無料朝食を提供している2店もどんどんアップデートしています。無料だからこの程度でいい、という事ではなく「価値がある」を追求しています。客室で飲めるテイクアウトコーヒーも大変ご好評いただいています。
(朝食)
2006年にお客様アンケートから開発したものが、「リセッシュ」ホテル版になります。今でこそ取り入れてるホテルは増えましたが、お客様の貴重な生の声であり、当然ながら毎年アンケート結果は変わっていきます。お客様のニーズと時代に応じたサービスをご提供していくことが必要となってくるのです。
「ESなくしてCSなし」
“ありがとうの気持ちを伝え合おう ~仲間へ そしてお客様へ~”、これが今年のCS向上委員会のテーマです。スタッフが考えだした、スタッフ間での思いを言葉で伝える仕組み「感謝のラブレター」もあります。1年間で891件のあたたかいラブレターが飛び交いました。
(感謝のラブレター)
「全員経営」「自由闊達」
従業員ひとりひとりが“私がリッチモンド”という経営者的自覚を持ち、お客様との接することで価値を高めていきます。マニュアルだけでは60点しか身につきません。100〜130点に引き上げる精一杯のサービスで包み込むのです。お客様より、なんば大国町で朝食のあとにウエイトレスに爪楊枝を出されたよというお声をいただきました。マニュアルにはない臨機応変なサービスであり、お客様の視点で常に対応して考えてくださっていると思います。お客様の喜びの声が働くスタッフに届くことでモチベーションが高まります。大切なのは、そのエンジンです。
常に現状を満足せず、「Perfect」を目指していきます。100-1=0点ですから。
「任せて育てる」
2004年より全国のメンバーが集まるプロジェクトを4つ継続しています。接遇(リッチモンドアカデミー)、商品力(CS向上委員会)、営業管理力(AAA Project)、経営力(RNTカレッジ)などについて成長、改善に努めています。イノベーションは、このようなコミュニケーションから生まれます。教育は投資である、経費でないと考えます。現場にやる気が高まり、イノベーションが生まれ、いつか必ず返ってくるのです。このようなプロジェクトも“任せて育てる“カルチャーがあります。自由と権限を与え、我々がサポートを行っていきます。
社長からのメッセージやスタッフ共有掲示板などがあるコミュニケーションボード(ネット)も情報共有、絆作りのために大いに活用されています。
人がすべてです。人を育てることこそが最も重要な経営だと確信しています。これからもES・CSを高めて収益基盤を拡大し、従業員やお客様をはじめ、多くのステークホルダーの皆様に愛される会社を築いていきたいと考えています。
以上
(SPRINGシンポジウム2014ご講演にて)