2014年9月11日
レジャー白書2014発表会を8月4日(月)15時から東京・渋谷の生産性ビル9階で開き、50名余りの方にご参加いただきました。本発表会はSPRINGフォーラムとして開いたもので、参加者間や参加者・講師間で活発な意見交換や質疑応答がおこなわれました。
まず余暇創研より、レジャー白書2014のポイントについて報告しました(レジャー白書についてはこちらをご参照)。
次に、一ノ本達己氏(株式会社マックアース代表取締役CEO)、手塚 寛氏(株式会社朝日コーポレーション代表取締役社長)が、スキーやゴルフ業界の活性化について話しました。お話しのポイントは次のとおりです。
株式会社マックアースが進めるスノーリゾート開発と市場創造
株式会社マックアース 代表取締役 CEO
一ノ本 達己氏
「53年前、兵庫県のハチ北高原にまだリフトの無いころ、父が食堂を始めたのが会社の始まりです。当時、山スキーのお客様向けにロッジを建ててそこからスタートしました。今はホテルになっています。1995年、28歳のときに代表取締役になり、2008年からスキー場運営に参入しました。現在は全国で29ヵ所のスキー場の運営をしています」
「もともとは山間地で、地域の男性は冬の間、出稼ぎに行っていました。スキー場ができたおかげで、リフト係員として勤めたり民宿をやったりして、1年通して同じ地域で住めるようになった。そういう経緯で自然発生的に生まれたスキー場は多いと思います。もし、スキー場の将来を悲観して閉めてしまうと、冬の職場がなくなり、そこに家族と一緒に住めなくなる。スキー場を継続することは、中山間地域の生活を守ることになると考えています」
「スキー場は20年くらいまったく投資されておらず、少しずつ古くなっていました。新しいリフトはできない。建物も年々老朽化する。ここで勝負するためには、しっかり投資しなければいけない、新しい施設ができていかないといけない。そのために何をするかです」
「運営しているスキー場は、北は北海道から南は徳島まで。標高の高いところ、街から近いところ、街から遠いけれども標高があって雪不足の心配のないところなど、様々なポートフォリオを描いて万遍なく展開しています」
「鷲ヶ岳のスキー場をお受けしたときに、スキー場とセットで鷲ヶ岳高原ゴルフ倶楽部の理事長にも就任しました。ゴルフ場の運営にも参画しています。スキー場は冬が忙しいのですが、夏も整備や草刈りなどの仕事がある。しかしそれだけでは現金収入がありません。ゴルフ場のほか、キャンプ場の再生事業も始めています」
「2008年に始めたときはスキー場3ヵ所の運営、入込客数14万人でしたが、2014年には29ヵ所、264万人となりました。既存スキー場だけでも入込客数や売上が伸びています」
(スキー場の再生事例として岐阜、兵庫、北海道、長野などの事例から)
ゴルフ活性化委員会が進める市場創造
一般社団法人 日本ゴルフ場経営者協会 筆頭副理事長
ゴルフ市場活性化委員会 副委員長
株式会社朝日コーポレーション 代表取締役
手塚 寛氏
「ゴルフは1990年代のはじめには1,400万人いた参加人口が、2012年には790万人に減少しています。ただし、年間平均費用は17万6千円もあり、ある程度の人口がありながらこれだけの金額を費やしているスポーツはあまりないと言えます」
「1人当たりの年間プレー回数は、1993年の7.25回から2012年には10.98回に増えています。ゴルフ人口は減っているにもかかわらず、総来場者数はそれほど減っていません。この間、プレー料金はかなり安くなっています。北関東ですと今は食実付きで5,000円程度でプレーできます。団塊の世代の方々が現役をリタイアしてゴルフ三昧の生活ができているのかもしれません」
「市場が縮小するなかで、ゴルフ関連17団体で構成する「日本ゴルフサミット会議」は、一致協力して市場の拡大にも取り組もうとしています。」
「『ゴルフはこうでなくてはだめ』という固定概念をもっていては、これからはだめだと思います」
「以前は社会人になるとゴルフと麻雀ができなければ営業はできないと言われました。仕事のためにゴルフと麻雀はつきものでした。今は、どうやって始めてもらうかが問題です」
「ゴルフというと、接待の手段というイメージがありましたが、これからは個人需要の時代ではないかと思っています。会員権も値段が高かったので法人でなければ買えなかったという事情がありますが、今は会員権の値段は非常に手頃になっています」
「中学校では武道とダンスが必修化されています。学校教育に取り上げられるのは大きいと考えています」
「ゴルフのいいイメージとして、健康的で生涯スポーツとして最適であり、コミュニケーションの手段になり、何歳からでも始められ、人生を学べる、などがあります。ゴルフの悪いイメージを払拭して、いいイメージを普及していき、単なるレジャーやスポーツでなく、『なくては困るもの』と認識されるようになれば、まだまだゴルフは広められるのではないかと思います」