事例紹介

2014年6月24日

株式会社スーパーまるまつ ~地域密着型繁盛スーパー物語:おばあちゃんの心をつかめ~

スーパーまるまつは、福岡県柳川市の単店舗のスーパーです。大手資本が多店舗展開、大量仕入れによる低価格化で中小スーパーを圧倒する中、スーパーまるまつは、地域に密着し、地域のお客さまと共に歩む経営で、支持を集めています。

同社は、ハイ・サービス日本300選の他にも、経済産業省「IT経営百選」で優秀賞(2004年)、最優秀賞(2006年)を受賞するなど、ITを徹底活用した経営が高く評価されています。テレビ番組「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」にも紹介された注目企業です。
そんなスーパーまるまつののハイ・サービスのポイントと今後の展望は・・・

今回は、スーパーまるまつ松岡社長に現地で直接お話を伺いました。

 

★ハイ・サービス日本300選 第2回受賞★
地域に密着したスーパー経営を実現

★ハイ・サービスのポイント★
【第7回受賞時のポイント:地域貢献】
●目的
データを徹底的に分析・活用し、顧客管理、商品管理、仕入先管理を通じてムダを排除する。また、データ分析により優良顧客を明らかにし、濃密な関係を維持する。

●ハイ・サービスのポイント
同社では、経営方針に始まり、サービス方針、それを実現する道具としてのIT、そのITを使いこなす経験則(ナレッジ)の蓄積、1日単位、週単位という短いサイクルで売り場と商品を改善していく機動性の高さまでが一つのビジネスプロセスとして確立している点が大きな特長となっている。

  • ポイントカードによる顧客管理(ポイントインセンティブで月末にダイレクトコールなど)。
  • 通常の買い物でたまるポイントに加えて月間の利用金額に応じてボーナスポイントを加算。他社で買っていた商品も自社で買うようになり、優良顧客の囲い込みに寄与している。
  • たまったポイント数で旅行など顧客向けイベントの抽選権を付与。
  • 景品の旅行などは顧客と直接対話する機会として重視している。
  • 基本的に顧客のクレームは100%受け入れるという方針。

受賞の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.service-js.jp/modules/spring/?ACTION=hs_data&high_service_id=46


【現在の取り組み -現地取材より-】

■送迎サービスの開始
スーパーまるまつのお客様駐車場の片隅に、白い軽自動車が出番を待っています。車は、買い物を済ませたお客様を、荷物と一緒にご自宅にお送りするサービスに使われています。
水郷のまち・柳川も地方都市の例にもれず、少子高齢化が進んでいます。公共交通機関は乏しく、日常の移動は自家用車に頼っていますが、ハンドルを任せていたご主人に先立たれたおばあさんは、移動手段を失って、たちまち「買い物難民」になってしまいます。
中には、タクシーで来店し、駐車場に待たせておいて、そそくさと買い物を済ませるおばあさんもいらっしゃるとか。
そんなお客さんの不自由に応えるため、同社では2013年から送迎サービスを始めました。

おばあちゃんたちの買い物をサポートする送迎車

 

■生鮮品は目で見て選びたい
最近は、多くのスーパーがネットで注文を受けて、商品を宅配するサービスを導入しています。先代社長の松岡義一さん(現会長)から経営を引き継いだ息子の尚志(ひさし)社長も、当初は宅配サービスを考えたそうです。
しかし、スーパーまるまつの生命線は、生鮮食品の鮮度。お客様も、自分の目で見て、確かめたいという思いが強いはずです。このため、買い物帰りのお客様をご自宅までお送りする送迎サービスを始めることを決断しました。

■あってもいいムダがある
送迎サービスは2500円以上のお買い物をしたお客様が利用できます。だからと言って決して採算が取れているわけではありません。それでも導入に踏み切った理由は、「一緒に暮らしてきた土地の人が、困っているのを放っておけないから」と松岡社長は語ります。
ITを活用した経営でムダを排除してきた松岡社長の口から意外な言葉が漏れます。「あってもいいムダってあるんだよね。」例えば、お客様との何気ない世間話。送迎サービスの車の中でお客様と交わす会話が潤いをもたらし、地域とのつながりを深くしていきます。また、送迎の車の中で、お弁当やお茶の注文をいただくこともあり、ささやかながら経営に貢献しています。
送迎サービスの利用は1日に2件程度と、さほど多いわけではありません。しかし、地域と共に生きるスーパーまるまつにとって必要なことと、松岡社長は考えています。

同社を屈指の優良企業に押し上げたIT活用も、お客様あってのもの――。「私もときどきハンドルを握るんですよ。」送迎サービスは、そんな松岡社長の経営理念を形にしたものと言えそうです。

マルマツ店舗全景

企業情報や、サービスの詳細はスーパーまるまつの公式ホームページをご覧ください。
http://e-marumatsu.com/#!/home