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イベントレポート(~2014年度)

2010年7月22日

<2010.6.17開催>中国サービスビジネス研究会~中国進出企業のベストプラクティスに学ぶ~第3回研究会

『中国人材戦略の鉄則~間違いだらけの人材マネジメント』

 6月17日(木)に開催された本研究会は、グローバル・サービス・フォーラムにご参加頂いた皆様からの声をもとに、中国進出を果たしている日本のサービス産業のベストプラクティスを共有し、ご参加者相互の「知の共有」を促進するとともに、中国市場での成功のポイントを模索することを目的としています。
 

第3回研究会では、パソナ上海 (保聖那人才服務(上海)有限公司) 副董事長 陳 大立 氏から、「中国人材戦略の鉄則~間違いだらけの人材マネジメント」をテーマにお話頂きました。
 
中国市場の急速な拡大に対し、本社における中国戦略が不明確なまま動いている日本企業も多く見受けられます。特にヒト、モノ、カネの優先順位が曖昧であるため、能力の高い人材の確保に対する戦略が乏しく、現地責任者の苦労を本社が理解し、有効なサポートを行う仕組みが無いことが原因となっているようです。
 

 なぜこのような状況になっているかというと、日本人と中国人の「OS(思考回路)」が根本的に異なっているということを理解していないからではないかと思います。日本人と中国人は文化的にも近いように思われますが、お互いにわかったつもりで話を進めていても、実はわかっていない場合も多く、かえって不信や溝が深めていることがあります。 

 具体的にどのような問題が起こっているのでしょうか。財務・会計分野では、「本社の経理部門が現地の会計処理に不満を抱いている」ことがあげられます。しかしながら、現地から見ると、本社は現地の会計や税務についてほとんど理解されていないという思いがあります。このような状況は、日本語のできる中国人経理部長を雇っても解決しません。つまり、ここでも「言語」の問題でなく、日中間の「OS(思考回路)」の相違を解消できる人材の確保が必要なのです。

人事・労務分野では、労働合同法(労働契約法)の影響により、労働契約に関する様々な対応や訴訟や労使紛争リスクに対応しなければならなくなっています。しかしながら、この分野においても総経理秘書兼通訳といった人が担当し、問題をかえって大きくしているケースがあります。日本式の年功序列賃金や昇給・昇格制度ではなく、中国式の人事労務管理ができる人材を確保することが重要です。 
 
このように、様々な問題が人材の確保によって解決できるのですが、日本企業は現地日系企業の平均賃金を基準として考え、給与の設定金額が低くなります。そのため、欧米企業ばかりか、最近は中国の国有企業にも優秀な人材が流出してしまっています。
  
第3回研究会のメインテーマである「人材戦略の鉄則」については、「郷に入れば、郷に従う」ではないが、人事・労務分野である人事制度・等級制度・評価制度などは、日本式ではなく中国式を採用すべきということ。労使紛争を避けるためには、従業員の出身地に注意が必要であるということ。人材獲得に際して、賃金相場の読み方、給与の設定、人材の要求との駆け引きに注意するということを強調されました。

米山茂美 武蔵大学経済学部教授のコーディネートにより、中国における人事戦略はどうあるべきかという観点を中心に、陳さんへの質疑応答、活発な議論が交わされました。
 

 

第3回研究会のまとめとして、米山コーディネーターからは、
・現地の価値観(OS)との整合性をとることの重要性
・人材戦略と経営戦略・事業戦略との同期化の重要性
についての問題提起がされ、第3回研究会は閉幕しました。

 
第4回の研究会では、内陸都市や中間層市場を攻略する「中国市場戦略」をメインテーマに中国における事業展開のキーポイントを探っていきます。