基本は、業務SOAと作業SOAに肉付けしながらフォーマットを埋めていきます。その際、重要なのは記述方法です。記述の原則は、5W1Hでシンプルに書くことです。特に主語が抜けることが多いので、注意をしましょう。主語を入れると、回りくどい文章に感じることもあります。しかし、記述している途中で主語が変わっていることはよくあるので、必ず主語を書くようにします。
語調は命令形ではなく「です・ます調」がよいでしょう。命令形では、マニュアルは必ず守るものという意識になってしまうからです。本来、業務基準書は本部や上から押し付けられるものではなく、自分たちが考えた、よりよい業務のやり方を広めて残していくものです。そのため「です・ます調」にして、内容を変えてもよいという雰囲気を出すのがよいと考えています。
しかし、文章 は断定的な表現にします。あいまいな表現だと、業務のやり方や判断がばらついてしまうからです。「~します」「~してはいけません」など断定的な表現を使います。また「~を注意します」「~を確認します」といった抽象的な表現は控えます。「注意します」であれば、何をどのように注意するのかを明確にするとよいでしょう。
図表.5 業務基準書の記述のポイント
仕上げは現場で
業務基準書が完成したら、最後は現場で確認してもらいます。具体的には 、新入社員や異動したての社員など、業務を熟知していない人を教育する際に活用し、内容に漏れや伝わりにくい表現がないかを確認します。
その際、注意すべき点は、業務基準書にあれもこれも盛り込まないことです。業務基準書を使って教育をすると、つい欲が出て、 滅多に発生しないレアなケースまで盛り込もうとします。しかし、辞書のように、あれもこれもと詳細まで盛り込むと、初心者には理解しにくくなります。最低限、知っていてほしい業務のやり方を載せておくことにとどめておきます。
最後になりますが、業務基準書は、 現場の意見を聞き、それを盛り込み、作成に現場が関与することで、活用度が上がるのです。
次回は業務基準書を導入して、業務改善を進めているコープさっぽろのインタビューをお伝えします。