顧客満足1位を10年以上維持する企業の特徴とは
~ヨドバシカメラ、オーケー、ディスカウントドラッグコスモス~
(SERVICE INNOVATION REPORT Vol.23 "Report JCSI"より)
JCSI調査は、2009年度に初めて調査を実施してから、毎年30前後の業種を調査・発表してきました。調査を行う中で、顧客満足1位の企業・ブランド(以下、企業)が毎年入れ替わる業種が多々ある一方、10年以上1位企業が変わらない業種もあります。
10年以上連続で顧客満足1位企業が変わらない業種は、宅配便(ヤマト運輸)・クレジットカード(楽天カード)・近郊鉄道(阪急電鉄)・シティホテル(帝国ホテル)・家電量販店(ヨドバシカメラ)・スーパーマーケット(オーケー)・ドラッグストア(ディスカウントドラッグコスモス)でした。
さて、長期にわたって高い顧客満足を維持している企業には、どのような特徴があるのでしょうか? また、これら企業のどのような点が高く評価されているのでしょうか?
今回は、2020年度調査結果をもとに、ヨドバシカメラ、オーケー、ディスカウントドラッグコスモスの3社を取り上げます。
■ヨドバシカメラ 通信販売サイトとの連携による強み
家電量販店のヨドバシカメラは、11年連続顧客満足1位となっています。また、ヨドバシカメラの公式通販サイト「ヨドバシ.com」も評価が高く、7年連続で通信販売業種の顧客満足1位を維持しています。
図表1は、家電量販店業種の中で顧客満足が1~3位であるヨドバシカメラ、ケーズデンキ、ジョーシンの6指標スコアをつないだものです。ヨドバシカメラは、知覚価値よりも知覚品質の方が高い品質重視型となっています。ヨドバシカメラと同じ品質重視型はビックカメラです。一方、ケーズデンキやジョーシンをはじめとする4企業は、知覚品質よりも知覚価値が高いコストパフォーマンス重視型となっています。
ヨドバシカメラでサービス品質(SQI)が1位となっている項目を抽出すると、ウェブサイトの充実度や品ぞろえの豊富さ、商品配送の適切さが当てはまりました。(図表2)
全品送料無料で即日発送のヨドバシ.com と連携することで、店舗で選び家で受け取る、通販で買い店舗で受け取る、といった柔軟な買い方ができることは、魅力の一つになっていると考えられます。
その他、施設・設備、ポイントプログラム等も高い評価を受けています。
■オーケー 顧客利益を追求する誠実な経営
オーケーは、スーパーマーケット業種で10年連続顧客満足1位となっています。
スーパーマーケットは企業によって品質重視・コストパフォーマンス重視の戦略が異なるため、6指標の形状が各企業で大きく異なります。オーケーはコストパフォーマンス重視型、顧客満足2・3位のコストコと成城石井は品質重視型です。(図表3)
サービス品質が1位の項目をみると、商品・サービスの価格表示、顧客の利益第一と、価格の安さへの信頼から支持されていることが伺えます。(図表4)
実際にオーケーでは、「高品質・Everyday Low Price」を経営方針に掲げ、毎日特売価格で販売しています。また、「オネスト(正直)カード」で今後の値下げ情報など顧客にとってお得な情報を掲示しています。
価格に対する誠実な経営が、顧客満足につながっているものと考えられます。
■ディスカウントドラッグコスモス サービス品質×低価格の相乗効果
ディスカウントドラッグコスモスは、10年連続でドラッグストア業種で顧客満足1位となっています。2019年に続いて、6指標全てで1位となり、また近年は他社を引き離して高い評価を得ています。
ドラッグストア業種は、生活用品の安さを売りにする低価格路線の企業が多く、顧客満足1~3位のディスカウントドラッグコスモス、サンドラッグ、CREATEの3社ともコストパフォーマンス重視型です。(図表5)
ディスカウントドラッグコスモスは、オーケーと同様に「Everyday Low Price」戦略を行っています。また、食料品等も幅広くそろえており、ここに行けば日常生活で必要な消耗品が手に入る「小商圏型メガドラッグストア」として展開しています。
ディスカウントドラッグコスモスのサービス品質1位の項目は全部で28個あります。主なものをみると、商品の在庫や種類の豊富さ、価格の安さだけでなく、店舗の快適さ、従業員の対応の良さなど、様々なサービス品質項目で高評価を得ていることが分かります。(図表6)
総合的なサービス品質の高さと低価格戦略の組み合わせが、顧客満足に良い影響をもたらしていることが伺えます。
今回取り上げた3社は、便利・安い・快適など、顧客にとって利用するメリットがあるサービスを展開することで、高い評価を維持しているといえます。