株式会社大谷（第9回受賞企業・団体）

受賞の観点

提供サービス

新潟に本店を置く印章店で、北は北海道から南は鹿児島まで大型商業施設内テナントという形で131店舗を展開する。スケールメリットを生かした大量仕入れ・生産と機械化により、低価格化と迅速な顧客対応を実現。顧客と職員に感動と満足を与えるという経営理念に基づき、あらゆる顧客目線のサービスを充実させる一方で、社内のコミュニケーション活性化にも工夫している。

ハイ・サービスのポイント

同社の強みは、保証やクレーム対応、スケールメリットを生かした低価格化など、徹底して顧客本位のサービスを行い、リピーターを増やしている点にある。また、職員同士で感謝カードを送ったり、家族へ感謝状を送るなどの仕組みを構築することでES（従業員満足度）を向上させ、さらにそれをCS（顧客満足度）の向上に結びつけている。

• 1989年、早朝勉強会を開き、社員の意見も取り入れ、経営哲学は「経営者の最大の仕事は“お客さまと社員の不満を満足に変える”ことと人間として豊かに成長できる教育を行うことである」


• 経営理念は「お客さまに喜びと満足と感動を与え続ける」「働きがいのある職場づくりと社員の幸福を目指す」「社員福祉に貢献する集団をつくる」を策定。


• 多店舗展開を目指したが、経営理念を浸透させるためにフランチャイズ制をとらず、すべて直営店とした。


• 職員のチームワーク向上を目的に、全国に約500人いるパートタイマーをパートナーと位置づけて、真の仕事仲間として処遇。呼ぶときも「パートナー」といっている。


• 経営理念を全店舗に共有させるため、社長の講話・訓話を録音し、全国の店舗へ送った。これにより職員のコンセンサスを得ることができた。


• 印章の保証期間内には盗難や火災のほか破損にも対応することとした。また、フリーダイヤルを設け、苦情などの電話対応は夜間や日曜、祝日でも受け付けた。社長宅の電話番号も公表し、クレームの最終的な対応は社長が責任を持って行った。


• 自社工場に最新のフルオート彫刻機を導入し、ファクス・宅急便を活用することにより、顧客の注文にスピーディーに対応できるようにした。急ぎの場合は、16時に受注して、工場がファクスを受け、夕方の宅急便に間に合えば、近畿圏なら翌朝10時に納品できるようになった。


• 問屋を通さず、メーカーから直接印材の仕入れを行った。また、値上がりの前に、大量に仕入れてストックするなど、スケールメリットを最大限に生かし、低価格化・利益率の向上を実現した。


• 社長が経営理念の浸透に専心する一方で、外部の専門家を招き、4S（整理、整頓、清潔、清掃）運動、製品ポートフォリオ管理に取り組んだ。また、作業の標準化・見える化、職員の多能工化に取り組み、不良品、欠陥品を減少させた。


• 職員の誕生日に社長からメッセージを添えてプレゼントを贈り、職員に感動を与えることで、ESの向上を実現した。


• 職員同士で渡す感謝カードをつくり、互いに感謝し合う仕組みを構築し、社内のコミュニケーションの活性化を図り、雰囲気づくりに努めた。


• 職員やパートが家族の誕生日に感謝状を渡し、その反応を10段階で評価してもらう仕組みを構築。家庭内で仕事への理解が増すことで、職員のモチベーションも向上した。


• 年に一度感謝状の内容を冊子にまとめ、職員に公開し、感動体験の共有化。


• 以上の取り組みの結果として、
  
  
  
  • 1997年、社団法人ニュービジネス協議会「奨励賞」
  
  
  • 1997年、国土庁・日本経済新聞社「地域活性化貢献企業賞」
  
  
  • 2000年、日刊工業新聞社「地域社会貢献者賞」
  
  
  
  ――などを受賞している。


• その他効果として挙げられる主な内容は、
  
  
  
  • パートが平日・休日別の売上げ目標を設定したり、パートタイム店長が独自に部下の報償を行うなど、職員の自主性・自発性が向上した
  
  
  • 北は北海道から南は鹿児島まで131店舗（印章業界で最多）を直営で展開している
  
  
  
  ――などがある。