受賞の観点
業務の「見える化」と従業員のマルチタレント化で生産性の向上を実現
提供サービス
1973年開業。リゾートホテル、シティホテル、旅館の特長を併せ持ち、シティホテルの施設で旅館的なおもてなしを提供している。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、団体利用から個人利用への旅のスタイルの変化に合わせ、ホテルオペレーションの変更を図るとともに、業務の「ムダ・ムリ・ムラ」をなくし、従業員のマルチタレント化によって、効率性と生産性の向上を実現している点にある。
- 団体客の減少、団体利用規模の縮小、個人客の増加など、日本の旅のスタイルの変化によって、従来の団体客をいかに効率よくさばくか、というオペレーションでの対応が難しくなった。そこで、2004年頃から人件費の削減を大きな目標として、「ムダ・ムリ・ムラ」をなくすこと、バックヤードの使い勝手を良くすることで生産性を向上させるべく、業務改革への取り組みを開始。
- 従来は、ピーク時2,000食を超える食事の供給を料理長や宴会責任者が経験と勘で処理していたが、料理を提供するプロセスを洗い出し、専用のコンピューターシステムによる管理を開始した。
- 食事の提供には、客室係であるメイドが全ての業務を行っていたが間違いが多かったため、パート社員が食器などの整理・整頓など細かな事前準備を行うことにして間違いや紛失を回避。
- 外部コンサルタントの指導も受けてバックヤード業務の「分業化」と「専業化」を行った。実践的なコンサルタントを選び、同ホテルに適したやり方にすべくスタッフが改善努力を重ねた。
- それぞれの部署で繁閑の差が大きかったため、スタッフが1人2役、3役できるようマルチタレント化を行い、業務量の平準化を図った。
- 縦割り組織の弊害をなくすため、各部署の責任者の上に業務全体の流れとその日の業務の繁閑を見通せる能力を持ったシフト管理者を配置。
- スタッフが習得したスキルを一つひとつ認定し、誰がどんな業務に就くことができるかをデータベース化し、これを基にその日の繁閑に合わせて人員を配置。
- 接客の基本は一度研修を受ければよいというものではないとして、定期的な研修を重ねている。
- 顧客のアンケートを重視し、顧客ニーズを抽出。また顧客アンケートから、褒められているスタッフを把握し、表彰を行っている。
- グループウエアの利用やミーティングによってさまざまな情報共有を行っている。
- 畳の上での作業による体への負担などを減らして生産性を向上させるために、2009年度より岐阜県の公設試験研究機関である情報技術研究所と共同研究を開始している。
- バックヤードの「ムリ・ムダ・ムラ」を排除することにより、60名だったメイドを、5名と30名のパートにまで減らすことができ、1億円前後の人件費を削減した。
- また業務上の間違いなども減少し、アンケート結果のポイントも上昇した。
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