受賞の観点
消費者のクレーム情報を収集し、地元企業のモノづくりに活用できる仕組みを構築
URL |
http://www.fcci.or.jp/ |
業種 |
公共サービス・団体・協同組合 |
所在地 |
福井 |
事業概要 |
地域の商工業の改善・発達 |
市場特性 |
ニッチスペシャリスト型 |
業態特性 |
ソリューション型 |
取引特性 |
BtoB型 |
環境特性 |
地域サービス型 |
提供サービス
地域の商工業の改善・発達を情報面からサポートする。Web上で消費者からクレームとその解決策のアイデアを収集し、それを会員企業が自由に閲覧し、商品開発に生かせるようなシステムを提供。こうして生まれた新商品をイベントやネット上の「苦情・クレーム『解決』博覧会」で紹介し、地域経済の振興に寄与している。
ハイ・サービスのポイント
同商工会議所の強みは、インターネット経由で消費者からクレーム情報を集め、エンドユーザーとの接点が少ない地元会員企業が各種情報を生かして新製品・サービスを開発することができるという仕組みを構築した点にある。また、サイトやイベントで解決事例を紹介し、さらなる知名度の向上につなげている点も注目度が高い。
- 福井の地場産業には繊維・眼鏡など優れた技術があるが、素材など中間製品を製造する企業が多いため、エンドユーザーやマーケットから直接ニーズ等の情報を収集する手段が少なかった。そのような県内企業のため、製品開発に生かせるように、紙媒体でのクレーム情報を募集した。
- 同商工会議所の定期刊行物などの印刷物で会員企業を募集した。
- 広告宣伝費がないため、パブリシティとしてマスコミに取り上げられるよう努めた。
- 初年度、約4,000件のクレーム情報が寄せられたが、手作業での情報の分類が煩雑となった。そこで効率よくクレームを集め、データを分析するためIT化を図り、サイト「苦情・クレーム博覧会」を開設し、クレーム投稿と閲覧の仕組みをつくった。
- 「苦情・クレーム博覧会」に登録された当該年度の情報を閲覧するには、会員となり入場料として1,050円の登録料が必要(当該年度の情報は何度でも閲覧できる)。入場料1,050円のうち500円は、100円×5票の投票権となる(入場者1人当たり5票の投票権が得られる)。入場者がクレーム情報を見て参考になったと判断したものに投票すると、その情報を投稿した人に得票数×100円が支払われる仕組み。
- クレーム情報が増加したため、サイトに以下のデータ分析機能を持たせた。
- キーワードランキング機能:クレームの内容に多く含まれるキーワードをランキング形式で表示する。気になるキーワードからどのようなクレームが入っているか確認できる。
- キーワード関連図機能:気になるキーワードを中心に関連する用語をグラフィカルに表示する機能。ターゲット顧客の明確化やマーケティングへの活用が図れる 。
- 「プロフェッショナル会員」、「企業サポーター会員」など、会員料金の差によって、 苦情閲覧数、分析機能などの利用可能なサービスを差異化した会員制度を導入した。
- サイトに解決事例を紹介するページを作成するとともに、 毎年イベント「苦情・クレーム『解決』博覧会」を開催し、クレームを反映した実際の新製品やサービスを紹介して広報活動とした。
- クレーム情報の利用・活用はユーザーの自由であり、どのように解決したのか会議所で全て把握しているわけはない。
- 以上の取り組みの効果として、2008年度の苦情投稿数は5,560件、ユーザー数は3,072社。現在まで蓄積されたクレーム数は4万件を超える。
- 解決品例としては、
- ヌレンザ:超撥水繊維を使った濡れない傘
- 減音テープ:はがす時の音を小さくし、通気も良くしたマジックテープ
- クリスタルウキワ:急速に排気できる栓をつけた浮き輪
- マジックミラーカーテン:外から室内が見えにくく、省エネ効果もあるカーテン
- 壁掛け新型ハンガー:室内を傷つけないハンガー掛け器具
- おはようチェッくん:独居老人の起床、就寝情報を家族の携帯電話に通知するシステム
- ツインクッション:車椅子用の体圧分散と体幹安定効果のあるクッション
- スノー・スリップ・ガード:雪道での靴用携帯滑り止め
――などがある。
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