受賞の観点
地域事業者の有機的連携で小規模共同配送の「浜田モデル」を確立し、物流効率化を実現
提供サービス
同社は、株式会社吉寅商店を代表とした地元卸売業9社による共同配送会社として設立され、商品の安定調達と物流業務の効率化に取り組み、成果を上げている。取引先とのルールを明確にすることや情報の公開、情報共有を行うことで、複数社共同による事業化を実現した。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、複数の地域事業者での協力体制を構築することにより、物流事業の小規模共同配送モデルを確立した点にある。加盟企業と取引先の双方に業務効率化などのメリットを与えており、同種事業での希少な成功例として、貴重なノウハウを蓄積している。
- 1998年から経済産業省指導による「物流効率化法」のもとに勉強会を始め、2000年からは事業計画・システム設計を開始。先進地の視察やコンサルタントを招いてのヒアリングなどを行った。その後、2001年には共同配送事業の実験を実施し、事業継続のために同社を設立した。
- 加盟企業や配送ルートごとの配送料金、料率の決定に注力した。物流事業のコンサルタントにも協力を仰いだが、参考となるような成功事例がないため、料率システムの基盤を固める時点で苦労した。
- 設立1年目は、配送料率を高めに設定したこともあり黒字であった。同社は単独で利益拡大を図る目的の会社ではないので2年目、3年目は料率を下げたが赤字に終わった。
- 同社設立時の出資会社9社を正会員、設立後の加盟企業を準会員として配送料率に1%の差を付けている。毎月開催している加盟企業間での勉強会では、全員参加での意見交換により配送料率や配送ルートを決定している。また、月次で配送ルートごとの損益の数字、加盟各社の配送料率などの各種情報をすべて公開している。
- 小売店側からの少量のオーダーだけでは事業が成立しないため、1回につき5,000円以上の配送というルールを設けている。
- 加盟店企業間には商材が重なる事業者も存在しているが、配送は各社が共同で効率的に行い、小売店への営業活動などは各卸売り事業者が個別に行うということで意志統一を図っている。
- 都市部から離れた地域など、特に配送条件の悪い地域から配送ルートを開拓していった。このようなルート開拓なども毎月の勉強会での意志統一の下に行っている。
- 加盟企業の卸売り事業者、配送先の小売り事業者の双方に業務効率化と多頻度配送というメリットを与えており、設立4年目以降は配送料率を変更してはいないが、取扱高が増えたため黒字となっている。また、毎月の勉強会では各種関連情報をすべて公開していることで信頼を集め、加盟企業はまだ1社も脱退していない。
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