受賞の観点
介護作業の標準化と介護記録システムの導入によりサービスの質の向上とコスト削減を実現
提供サービス
1987年、同社は調剤薬局として創業し、1997年より介護事業に参入。居宅介護支援、訪問・通所介護サービスの他、介護用品のレンタル・販売を行っている。介護手順書を作成し、介護作業の標準化、見える化を行い、それをもとに介護記録評価システムを構築し作業を効率化することで、書類作成などのヘルパーの負担を軽減するとともに、ペーパーレスや人件費の削減を実現している。
ハイ・サービスのポイント
介護作業の効率化によりヘルパーの負担を大幅に軽減し、さらなるサービスの質の向上とコストの削減を実現した同社。その強みは、個々の介護業務を標準化し質を高めるとともに、それをベースにIT化を推し進め、介護記録評価システムを導入するという標準化、見える化の実施にある。
- 独立行政法人中小企業基盤支援機構から派遣専門家(中小企業診断士)を受け入れ、IT化への道筋をつけた。
- 介護を、入浴や排泄の介助という「行為」ではなく、風呂を沸かすために湯沸かし器のボタンを押す、浴室の敷居をまたぐといった個々の「行為動作」にまで落とし込み、介護手順書を作成。介護作業の見える化を行った。
- 介護記録評価システムそのものの構築はソフトウェア会社を活用した。
- 介護の現場でヘルパーが、介護手順書に基づき、作業の「している・していない」を携帯電話に入力することにより、個々の利用者の介護履歴の蓄積と利用者の介護評価による、「理にかなったケア」の実現をした。
- 蓄積されたデータベースを活用にして、個々の利用者に合ったサービスを提供した。
- ヘルパーが現場での介護内容を携帯電話に入力するだけで、そのデータが個人別介護実績記録、個人別介護支援経過表など様々な記録に転記されるシステムを構築。
- 介護データを利用者の家族、ケアマネージャー、医師、事業所で共有した。
- 20項目に及ぶ利用者満足度項目を調査してグラフ化したり、現場のヘルパーの留意事項を月ごとに一覧化するなど、システムに様々な機能を持たせた。
- 使いやすさを追求し、三重大学との共同研究により初代システム「スイートハート」のバージョンアップを行い、新システム「sara」を開発した。
- 以上の取り組みの効果として日々の介護日誌作成が5分でできるなど、書類整備等の事務処理時間の削減と残業ゼロを実現。「スイートハート」導入時点で、特定事業所加算?の適用訪問介護事業者として認定され、事業所加算10%が適用された。特定事業所加算?の適用訪問介護事業者認定や作業標準化の進展により、前年比売上高約10%アップを実現。試算によると、1カ月に約180万円のコストを削減していることになる。ヘルパーの個人差を排した、介護サービスの標準化を実現。作業負担の軽減により社内研修・ミーティングが自主的に開催されるほど、ヘルパーのモチベーションが向上した。ミーティングの場での情報交換により、「気づき」が増え、新たなサービスの立案につながっている。仕事に集中して取り組める環境ができ、事故がない。
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