受賞の観点
実需者のニーズに応える農産物の生産・販売で利益を出せる農業生産方式を確立
URL |
http://www.topriver.jp/ |
業種 |
その他サービス |
所在地 |
長野 |
事業概要 |
大規模経営農家育成支援事業、野菜の生産・販売 |
市場特性 |
ニッチスペシャリスト型 |
業態特性 |
ハイバリュー型 |
取引特性 |
BtoC型 |
環境特性 |
地域サービス型 |
提供サービス
レストランやスーパーなどの実需者と年間契約を交わすことで確実に利益が出せるビジネスモデルを構築し、ニーズに応える生産物の提供を行うとともに、農業研修制度による新規就農希望者の育成に取り組んでいる。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、天候や市場に左右され価格決定権を持たない従来の農業生産方式からの転換を図り、利益を出せる農業生産体制の確立と経営感覚を併せ持った新規就農者育成に取り組んでいる点にある。また蓄積したノウハウを公開することにより、農業生産全体の活性化にも貢献している。
- 嶋崎社長は、農家の生産・出荷と顧客が求めるニーズ(量・規格・時期)の不一致、農業人口の高齢化による耕作放棄地問題や後継者不足などに対し、日本の農業の未来に強い不安を感じていた。また1993年の米騒動や1996年のO-157による野菜の価格暴落などから、農産物の価格安定に向けて契約販売を勧めたが、農家では天候による生産量変動への恐れや慣習などからこれに応えてくれることがなかったため、自ら遊休耕作地を借り受け、利益を確実に確保できる農業生産体制の確立と次代の就農者の育成に向けた取り組みを開始。欠品を出さないという条件で、直接レストランやスーパーなどと年間契約を行うことで確実に利益が出せるビジネスモデルを構築。
- 顧客から品質や量など出荷に関する希望を吸い上げ、集約した需要を自社と協力生産者の生産量に割り当て、需要と供給のバランスをとっている。契約販売の場合は信用と安定供給が最も大切な点であることから、コンピューターによる計画生産と日々の微調整を実施。
- 2008年、規範に沿った生産を行っているかどうかを第三者機関が審査・認証する適正農業規範「JGAP」認証を長野県で初めて取得。またトレーサビリティーの提供にも取り組んでいる。
- 2009年11月からは農業生産法人などを対象としたコンサルティング事業「農業生産法人収益サポートサービス」を開始。
- 同じく2009年11月より、外食・中食企業、加工会社などを対象に、野菜の安定確保や供給、品質向上のための仕入れノウハウを無料提供する「野菜購買 無料アドバイスサービス」をスタート。
- 農業研修制度を導入し、全国から募集した20代から30代の新規就農希望者を研修生や社員として採用。社会保険への加入や収入の保障などで、安心して農業技術や知識の習得に取り組める環境をつくっている。
- 農業を実践できる人材育成機関を目指し、研修生を複数の班に分け、それぞれが担当の圃場・作物を持って責任のある栽培・管理を行うことで、効果的な生産技術の習得を図っている。
- 研修では「農作物の生産」、「農産物の営業」、「組織マネジメント」の3点について習得させ、約5年で独立させることを目標としている。
- 会社が利益を出す必要はなく、社員に還元するべきだという考えから、入社5年目の年収は500~600万円と農業生産法人としては非常に高い設定としている。
- 2009年12月期の売上高は約10億6,000万円で、売上は会社設立時の約27倍に伸長。農産物の販売顧客は約50社。
- 現在までに独立した就農者は9人となっている。
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