受賞の観点
ブランド力とノウハウの柔軟な活用に加え海外事業小会社の設立により、国際展開を加速
提供サービス
「牛丼の味を変えない」というアイデンティティーを確立していると同時に、海外では出店する現地の事情によってより受け入れられやすいプレゼンテーションを採用し、国際的な多店舗展開を可能にしている。また、長期的なビジョンや、蓄積してきたノウハウの活用など、効率化を追求した戦略の立案・実行によって事業を拡大している。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、現地の事情や文化を踏まえた施策を行うことでノウハウを蓄積し、日本を代表するグローバルサービス企業へと成長している点にある。世界各地への積極的な店舗展開により、吉野家ブランドの確立を果たしている点も魅力である。
- 1975年にアメリカのデンバーに1号店をオープンしたのが同社海外展開のスタート。その後はロサンゼルスやニューヨーク、アリゾナなどに出店しており、今後はフランチャイズスタイルで拡大を図る予定である。
- アメリカでは従来のカウンター方式では受け入れられず、セルフサービス方式にしてから受け入れられていった。当初は牛丼だけだったが、テリヤキチキン丼がヒットしたことで店舗数が大きく伸びるなど、1980~2000年までの間に多彩なノウハウを蓄積することができた。
- アジアでの展開に関しては、スタートは台湾であり、商品開発、カウンター方式からセルフサービス方式への変更など、試行錯誤を繰り返した。
- 人材を派遣して直接的な利益獲得を図ること、人材を派遣するほどではない場合にフランチャイズで進めること、という二つの大きな戦略方向性を決めた。
- 中国市場では、現段階で「受け入れられること」と「信用されること」が重要だと考えており、生産性の効率は求めていない。
- 中国語には「ホスピタリティー」にあたる言葉がなく、そのため現地の従業員の育成には非常に苦労しているが、逆にその部分をしっかり教育することで差別化を図るために、優良店のノウハウをもとに教育カリキュラムを作成中である。
- 丼でなくて皿で提供する、看板の色を変えるなど、出店する現地の事情に合わせて柔軟なプレゼンテーションを行った。
- 優秀な人材の確保として、グローバルシステムという施策を作り、ナレッジマネジメントをしていくことでノウハウを共有していく。
- 積極的な店舗展開により、現在の海外展開店舗数(2010年2月末)はアメリカ100店、中国184店、香港45店、台湾58店、シンガポール16店、フィリピン7店である。
- 2010年にはインドネシアにも出店予定という、日本を代表するグローバルサービス企業となっている。
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