受賞の観点
トヨタ式カイゼンとCCPMの導入により作業の効率化と利益率の改善を実現
提供サービス
建設のコンサルティング、測量、設計を行う。公共事業の継続的な減少を背景にトヨタ式カイゼンを導入し、作業を標準化するなど効率化に取り組んでいる。その上で期間短縮を図るためのプロジェクト管理手法CCPMを取り入れ、標準化された作業の進捗状況を管理している。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、トヨタ式カイゼンをコンサルティング事業に導入し、個々の作業を標準化、見える化することで利益率の改善を実現した点にある。さらにCCPMを導入し、作業の進捗状況を把握、適正なマンパワーリソースの投入配分を行って、作業効率を向上させている。
- 同社では、(独)中小企業基盤整備機構に相談し、カイゼンの専門家派遣を要請した。
- 各部門ごとに利益率を把握し、目標利益率を設定した。
- 担当者の裁量によって進められてきた個々の作業ごとに実行フロー図を作成し、社内標準工数(作業に要する人数×時間)を設定することで、各作業工程の標準化、見える化を行うとともに、業務における価値作業と非価値作業を分別した。
- 個々の事例や担当者の裁量により設定されていたバッファ日数(不測の事象や作業の遅延を見越した予備日)を標準化した。
- 社内標準工数とバッファ日数の標準化により社内標準歩掛かり(一定の工事に要する作業手間及び作業日数)の算出が可能になり、目標社内標準歩掛かりを設定した。
- 社内標準歩掛かりを利用して予算書を作成することを徹底した。
- 各スタッフの作業負担を把握するために、「負荷と余力の見える化表」を作成した。縦枠に作業内容、横枠に作業ごとの工数、最下段の合計欄には集計数を日々記入する仕組み。集計時間が一定の値(限界工数)を超えたときには、作業の再分配が検討されることになっている。
- 専門家の指導終了後も、社内に設置したカイゼン委員会を中心に継続的にカイゼンに取り組んだ。
- CCPMの運用により、作業の進捗状況を管理し、マンパワーリソースを適正に管理する仕組みをつくり、組織全体の最適化に取り組んだ。
- ピラミッド型の組織を部門制からプロジェクト制へと段階的に改造した。
- 必要な作業について、スタッフの作業日数を検討し、完了から開始まで遡行的に計画を立てた。
- バッファ日数を検討、作業工程表を作成した後、バッファ日数を50%削減するチャレンジ工程表を作成し、実行に移した。
- 主な効果は以下の通り
- カイゼン導入後、粗利益率は設計部で7.7ポイント、測量部で7.2ポイントなど、それぞれ向上した。
- 部門間の壁をなくし、全員参加でプロジェクトを遂行することにより、モチベーションが向上した。
- 作業の標準化、組織のプロジェクト制への移行により、スタッフの単能工からの多能工化が実現した。
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