受賞の観点
「年間300日活動できるキャンパス」などの高付加価値化教育で高い就職率を達成
提供サービス
顧客である学生の満足度を高めるための施策として、各年のアンケート結果から改善課題を抽出し、次年度に諸施策を実施するPDCAサイクルを活用。「年間300日活動できるキャンパス」を掲げ「夢考房」や「数理工教育研究センター」など、他大学では見られないような施設やシステムを提供している。学生が能動的に勉強できるようなサポート体制を充実させ、教育内容の要旨であるシラバスを細かく数値化することにより学習達成度の「見える化」を可能にした。
ハイ・サービスのポイント
同大学の強みは、PDCAサイクルの仕組みを構築し、顧客である学生の満足度を高め、改革による付加価値の高い教育の結果、高い就職率を達成している点にある。また「夢考房」や「数理工教育研究センター」をはじめとした施設やシステムにより、学生主体の「年間300日活動できるキャンパス」を実現し、他校では類を見ない特徴的なサービスを提供している。
- 普通の大学は170~180日分のカリキュラムしかないが、同学では土日以外なら300日利用可能という考え方を導入。授業のない日も、図書館や数理工教育研究センター、24時間365日オープンの自習室などを学びの場として提供すれば、少なくともキャンパスに学生が滞留し、学びの後押しとなる。
- 教員に関しては教え方を教わるFD(ファカルティーデベロップメント)研修を実施している。同校を卒業した教員志望者もすぐに採用せず、社会経験を積んでから再審査に通す。採用後もプロジェクトデザイン課程を担当させ、いきなり専門の特定教科に配置することはない。
- プロジェクトデザイン課程とは、グループ単位で研究課題を自主的に設定し発表、評価し合うというもの。教員だけでなく、学生相互に評価させるところに特徴があり、予算や原材料などの制約条件があって行われるため、模擬ビジネスの体験となっている。
- 他校のシラバスは授業内容の概略に過ぎないが、同校は何について何割くらい、あるいは座学・意見交換・発表・思考力育成などにどれくらいの割合が割かれるか、そして実際の授業のカリキュラムに何が何十分ずつ充てられるかなどが「数値化」されて示されている。授業内容=学生にとっても達成できることの「見える化」になっている。
- 企画課・CS室では学生からのクレームをメールで受ける窓口があり、毎年数百ページの報告書に苦情の分析などをまとめている。
- 数理工教育研究センターでは工学の基礎や水準合わせに寄与している。普通の大学の研究室に先生を訪ねていくのは難しいが、同校では数理科目担当教員の研究室は個別にはなく、オープンフロアにしているため、教員を訪ね、気軽に補習を受けられる。
- 夢考房はものづくりの実践の場としてあり、学生が自主的にプロジェクトを組み、予算を配分するために申請し、不足は企業からスポンサーを募る。大学側はわざと足りない予算を設定し、資金集めをさせるなど、実社会に向けた学びの場としている。
- 同校には定期テストはなく、数多くのレポートで進捗チェック=達成度確認を行う。学生が、自分の達したいレベルへの学習達成度向上=学生満足向上に向けて努力をして施策を打っている。
- 就職率は氷河期といわれる時期も約97%、昨年は99.5%と高止まりの状態であり、約7割は上場・大企業・公務員へ進んでいる。また「夢考房」では教員も一緒に議論することで教員や企業以上の技術が生まれ、ソーラーカー、ロボットコンテストなどで活躍している。
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