受賞の観点
「エコロジーステーション」への業態進化で顧客と従業員の双方の満足度向上を実現
提供サービス
「エコ洗車」などの環境に貢献できる仕組みや、資源ゴミ回収などの生活に密着したサービスを行うことで地域顧客の囲い込みを行い、販売促進につなげている。また、社内的にも無理や抵抗のない範囲で新しいサービスに取り組むことで、顧客と従業員の双方の満足度向上を実現している。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、「エコ洗車」や「バイオディーゼル販売」など、環境に配慮した先進的な取り組みを展開することで、従来の「給油所」から「エコロジーステーション」へと業態進化を遂げた点にある。また地域に根付いたガソリンスタンドというインフラを最大限に生かして、資源ごみ回収などの生活密着型のサービス展開により、地域顧客とのつながりを深めることにも成功している。
- 現在の天ぷら油回収担当者は、1人で128カ所を回る。早朝から稼働する仕事とはいえ、回収先で感謝されるので自主的に動いている。もともとガソリンスタンドは朝夕の時間帯が忙しく、昼は手が空くことが多いので、昨今は業務の平準化の一助にもなっている。
- 天ぷら油のリサイクルシステムに2,000万円の投資をしたが、数年で回収しており、財務上も問題はない。
- 天ぷら油回収は全国的にも珍しく、行政や法律への対応・調整について、特に消防関連法・条例対応が大変であった。例えば、一般家庭の天ぷら油を集めることは一般ごみの回収になるが、料理店からの場合は産廃扱いになり、処理施設を所有している証明と輸送の許可が必要になる。リサイクル目的という主張も既存事業者にしか認められず、新規事業者扱いの同社には認められなかった。その経験を踏まえ、現在は料理店からの回収では、1円でも価格をつけ有価物として買い取っている。
- 同社は地域のガソリンスタンドとして昔から地元に馴染んでいる。現代の「何でも屋さん」として下水道の水回りやボイラーの調整など、修理の依頼にはどこへでも出かけていくサービスを行う。
- 灯油販売などで地域住民の家庭を訪問するケースが多いため、当初は販売員に営業を依頼していたが、思わしくないため資源ごみなどの回収に切り替えた。その方が簡単であり、営業が苦手な社員でも対応が可能になったため、サービスが広がった。
- 従業員はもともとガソリンや、タイヤなどの部品を扱っているので「汚れる仕事」に慣れている。作業服を着てドラム缶を扱うことにも慣れているので、ごみや天ぷら油の回収に何の抵抗もなく、スムーズに取り組むことができた。
- エネルギーにも地産地消が大切であるという考え方から、バイオディーゼルを利用したいという人には自分で”原料”となる天ぷら油を集めてくることを依頼している。滋賀県では滋賀県で、東京では東京で出た油を集めて使うことが大事あり、回収量⇔製造⇔利用という流れの中で流通量に大きな差が出るとサイクルが回らないためである。
- 天ぷら油から石鹸ができるという仕組みは分かっていても、生協で仰々しく販売しては使いづらい。古い天ぷら油から新しい天ぷら油を作るのが最高のリサイクルだが、衛生的にそれは難しい。そこで、同社では人間の体と直接関係ないものをと考え、車を洗うなら利用しやすいということになり「エコ洗車」サービスを開始した。
- 同社のサービスがきっかけとなり、滋賀県のある新聞販売店では、バイクで配達する際のガソリン分をバイオディーゼルの原料となる天ぷら油を集めるという運動を始めた。同社ではそういった取り組みへの後押しとして、CO2削減効果などのデータや資料を積極的に提供している。
- ガソリン価格は比較的高くても集客は増えているなど、販売促進にもつながっており、顧客と従業員の両方の満足度向上を実現している。
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