受賞の観点
FC展開による業務の平準化、ITやノウハウの活用による効率化で事業拡大を実現
提供サービス
主に育児中の主婦や定年退職者を募集し、企業よりアウトソーシングされる軽作業を請け負う内職事業のフランチャイズ(FC)展開を主力事業としている。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、従来の内職業界の常識に追随せず、新規市場の開拓やFC展開による業務の平準化、ITの活用やオペレーションの工夫による効率化などに積極的に取り組み、事業を発展させた点にある。また従業員、FC店とも研修や情報共有を通したサービスレベルの向上を図り、経営資源を活かした新規事業の展開などを通し、内職産業そのものの地位向上を視野に入れた企業活動を行っている。
- 同社代表の作野氏は1992年、営業倉庫・トランクルームのレンタル事業を開始したが不振。その後知人からギフト商品の詰め合わせ請負業務を紹介されパートを雇用して始めたが、売上よりパートの人件費が高くなってしまったことから、「時給制のパートではなく出来高払いの内職に頼めば必ず粗利が出る」と考え、内職産業に参入。
- 内職業はすべての産業の末端下請けであり、作業ミスや品質不良の責任をすべて負うことも多かったため、内職産業を社会的に認知させたいと考え、事業の発展に向けた取り組みを開始。
- 当初は内職業に知識がなかったことから、あらゆる企業に営業活動を行ったことが新たな業種・分野への潜在ニーズの掘り起こしと既存の内職業者との差異化につながった。
- 従来、内職を活用してきた業種以外に、レンタルビデオ店、広告代理店、100円ショップ、玩具メーカーなどの、内職を活用せずに行っていた作業を低価格で請け負うことで、新しい市場を開拓。
- 同社では2004年よりFCによる多店舗展開をスタート。内職業界では受注量が流動的であることから業務の平準化ができず、内職スタッフ数の調整も難しかったが、同社では複数店舗による業務分担で大口注文や至急の注文への対応を可能とした。
- 経験を通して50坪の倉庫に34人の内職者、1日の1人当たりの労働時間5時間がベストな事業モデルであることが判明。作業用の品物は内職者が引き取りに来るため、34人の内職者を9時から12時半までの3時間半で効率的に回転させる混み合わない倉庫レイアウトや導線などを工夫し、倉庫入口に引き取り荷物や検品荷物を置くことなどで内職者の滞留を最低限に抑えて井戸端会議を防止するなど、オペレーションのノウハウを蓄積し、FC店と共有。
- 同社では、業界では画期的なITの導入による効率化に取り組み、内職の賃金計算やクライアントごとの作業内容管理、請求書発行などが簡単に行える内職管理システム「イージス」や、適正価格が曖昧で見積もり提示には長年の経験や知識が必要だった内職の請負額の算定や、作業の必要稼働人数や1人当たりの作業量など店舗管理者に必要な情報を容易に導き出す作業分析プログラム「コンパス」を始めとする複数のオリジナルソフトを開発し、FC店にも提供。内職未経験のオーナーの店舗経営のサポートに役立てている。
- FC店に対しては、問題に対する回答やスーパーバイザーによる定期的な現場視察とアドバイス、初期加盟店によるサポートを実施。また様々な研修を行い、早期の経営安定をフォローしている。
- コストダウンに向けた営業提案や、顧客の荷受けや受け取りなどの物流の改善や効率化へのアドバイスを実施。顧客メリットの向上に努めることで顧客の信頼を獲得している。
- 作業の品質向上や内職のスキル、レベルアップのため、様々な研修や内職者向けの作業説明会や情報共有会を実施し、サービス及び効率化・安全性向上につなげている。
- 2009年には内職者を活用し、リサーチ・マーケティングを行う「主婦Lab.事業」を本格的に展開。また従来の手作業に加え、データ入力などのWeb作業の内職展開も行っている。
- 直営店5店、FC店62店を北海道から九州の全国に展開し、全国の働きたい主婦や高齢者などの雇用創出にも貢献している。
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