受賞の観点
取扱商品の専門性と物流・情報システムの最適化が効率の良い店舗展開を可能に
提供サービス
金物・建築資材と農業用品に重点を置いたホームセンターを経営。同店舗のEC展開も行う。大規模ホームセンターとは一線を画した商品展開に加え、物流・情報サービスの刷新とドミナント出店方式の採用で、高効率化とコスト削減を実現し、専門性と利便性を兼ね備えたサービスの提供に成功している
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、取扱商品の専門性を基本とし、ドミナント出店方式により小商圏を『面』で抑える戦略で「地方のホームセンター=すべてを揃えた大規模展開」の常識を覆した点にある。独自の専門店「ハード&グリーン」を展開し、これらを実現するために物流・情報システムを構築し、またECサイトへの注力で店舗在庫が難しい商品への対応にも成功している。
- 1952年に創立し、ガソリンスタンドや住宅設備機器の販売を行っていた同社は、石油ショックを期に1977年ホームセンター事業に参入。従来の事業による得意分野を継承することで品揃えの差別化を行い、大規模な雑貨スーパーとしてのホームセンターではなく、創業の地の地場産業である金物・建築資材と農業用品に重点を置いた店舗展開を行った。
- 重点を置いた取扱品目は旧態然とした流通の上に成り立っていたため、物流システムの整備に着手。物流センターによる一括納入・検品などの実施により、流通の近代化=コスト削減を行った。
- 出店方式は、地域での知名度向上と店舗管理の効率化を考えドミナント出店方式を採用。核となるホームセンターをハード&グリーンで囲み、小商圏を『面』で押さえることで、効率の良い販促なども実現した。
- 得意分野の商品取扱に特化することで、結果として同業他社とは異なり品揃えの差別化を実現。大規模な雑貨スーパーとしてのホームセンターではなく、特化した金物、建築資材分野と、園芸用品に端を発した農業資材に重点を置いた個性を前面に出した店舗展開を行っていった。
- 重点分野へ注力していく課程で、「この商品ならコメリへ行け」という評判を獲得。同社の大きな強みとして、その評判が地域に浸透していった。
- 物流システムの整備の必然性から早い段階から物流センターによる一括納入を実施。流通コストの削減を行うとともに、自社物流網を持たず商品供給エリアに限界のあるメーカーや問屋などとも取引が広がり、より良い製品をより安く仕入れていくことが可能となった。また、物流センター側で一括検品を行うことで店舗側の負担を減らす取り組みも行うなど、物流センターの最大限の活用に努めた。
- 自社流通・物流システムの構築に伴い、ホームセンター業界で初めてPOSシステムを導入。まだ普及期でなかったことから当時のJANコード添付率は4割程度と低く手間がかかったが、早期に導入した分、同社のアドバンテージとなった。
- 店舗間の移動時間の縮小や、同一エリアであることによる売上げ情報の有効活用など、効率の高い店舗管理を実現した。
- 差別化を進めていく上で、農業分野における農協の拠点数の減少など、サービス体制の衰弱化に注目。より農家のニーズに合わせた販売手法や、農薬など専門販売知識が必要な商品の取り扱いを開始。農業アドバイザー設置によるアドバイジングや、利用しやすい店舗設計導入と併せて、本業農家からの人気を不動のものとしていった。
- Webを用いたEC展開にも注力。既存店舗と有機的に関連づけ、店舗在庫が難しい大型商品や、大量に消費される商品など「大・重・多」の商品を物流センター直の発送で効率よく売り上げ化した。
- これらの取り組みの結果、ホームセンター事業開始の1977年当時数億だった売上高は2009年には2,775億円となり、店舗数は974店、従業員は約9,500人へと大きく成長を遂げた。
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