受賞の観点
徹底的にユーザーの視点に立ったサービス開発でEDIサービスを流通業界の共通インフラ化
提供サービス
ユーザーの視点に立ったEDIサービスを提供することで、メーカーと卸売業を含めたサプライチェーン全体の業務効率化とコスト削減を進めている。また業界インフラの整備により、参加企業規模は大小を問わずに競争が可能になるなど、業界全体の活性化にもつながっている。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、ユースウェア(IT活用のためのユーザー支援活動)の考え方に基づいたサービス展開により、流通業界インフラとしてEDIサービスを定着させた点にある。その結果、サプライチェーン全体での業務効率化を実現するなど、メーカーと卸売業の間にWin-Winの関係を生み出している。
- ライオンとユニ・チャームは競争関係にあったので、中立的な立場として、インテックにデータ通信などの運営を任せた。これにより、業界内にも安心感が生まれた。
- 数値的な目標では3年間での黒字転換を考えていたが、ほぼ達成している。
- 当時は現在のコラボレーションのような概念がなく、業界メーカーのトップの理解を得るためには詳細な説明を行う必要があった。ある程度の規模がないと業界インフラとして成り立たないため、業界の60%以上を占めることに注力した。しかしあらゆる企業の集合体であるので、各社の要求に応じていくのは難しい。そのため半歩先を行く提案を心がけ、実行していった。
- 設立当初は、参加各社からITもしくは流通の担当者6~8名が集まり、ヒューマンリソースを確保した。
- ユーザーに対しては、システムを入れ換えるごとに利用費を安くしている。
- 設立当初は端末機設置やシステム開発のため、2億4000万円の初期投資が必要であった。端末機は1台100万円以上、パソコンはネットワーク化されていなかった。通信回線はモデムを使用したアナログ通信であり、通信にも高額な費用がかかった。そのため資金難に陥ったが、各社からシステム利用料を先に受け取ったり、インテックへの支払いを3年計画にするなどして対応した。その後は事業が拡大するごとに増資を行っている。
- 導入時は簡易的な仕入れデータで業界ネットワークを構築した。その後、本格的な発注データへとシステムを拡充し、現在は24種類のデータ通信を行っている。すべてを使いこなしているメーカーはなく、平均は5種類程度で、通信ボリュームは月間1億レコード以上である。
- IT技術の急成長に伴う多様なニーズに応えるため、1999年にJ手順から100~200倍の速度のTCP/IPへの変更を開始。さらにJ手順をすべて廃止したことにより、変換が不要になったため、先端マシンの効率が飛躍的に向上した。
- 業界インフラとして、バックアップ体制や画像データも充実させている。商品情報を画像つきで商品データベースとして登録し、画像はチラシ印刷やカタログ作り、棚売りの配置などの検討の際にも利用可能で、商品数は約6万8000点ほどある。
- 徹底的にユーザーの立場に立つことを重視した。ユースウェア(IT活用のためのユーザー支援活動)がもともとの発想であり、業界団体とも頻繁に情報交換をしている。業界団体からの要望を受けて、システムのリプレイスなどに活かしている。
- 利用企業は順次増加しており、現在約400社のメーカーが活用しているほか、他業界へも広がりを見せているなど新たなビジネスモデル確立に成功した。
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