受賞の観点
作業量を測定、基準値を算出し、作業に人を割り当てることによって効率化を実現
提供サービス
「嘘のない仕事」を経営理念に関東で食品スーパー「サミットストア」のチェーン展開を行っている。日本でいち早く、LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)を導入、作業の効率化を実現した。LSP以外にも、店長主導型店舗運営、ペットボトル自動回収機の設置、レジ袋有料化の実験等、業界でも先進的な取り組みを継続的に採用している。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、日本の食品スーパーとしていち早くLSPを導入し、従来は職人気質のスタッフが仕切っていた個々の売場、作業場を科学的に管理するために、作業を標準化・最適化することで、ムリ・ムダ・ムラを排除したことにある。チェックリストを作成し、定期的に作業をチェックすることで、RE基準(合理的な基準値)に届いていない店舗があれば、原因を特定し、改善活動を行っている。
- LSPとは、アメリカのスーパーマーケットで生まれた店舗運営方式で、人に作業を割り振るという考え方とは逆の発想で、「必要な作業に人を付ける」ことにより作業の効率化とコストの削減を目的とする仕組みである。
- 同業他社との勉強会にてLSPについて研究し、実験店舗を設けてグロサリー部門から取り組みを始めた。
- 作業を定量管理するに当たって、まずはすべての作業をリストアップするという基本中の基本部分をスタート点と定めた。
- 次に、この段階で作業区分を変動作業と固定作業に分類。変動作業とは物量により作業量が増減するもの、固定作業とは売場面積やハード面により作業量が増減するものである。
- 蓄積したデータを整理し、人時(マンアワー)として数値化した。この1人時とは、1人が1時間を要する作業のことである。
- 人時を用いて、それぞれの作業のRE基準(合理的な基準値)を算出した。RE基準とは、「個々の作業を平常な状態でマニュアル通りに行うのに必要な時間」である。
- 算出されたRE基準を基に個々の作業別・曜日別の基準表を作成、作業割当表にスタッフを割り当てた。作業割当表は計画した売上高を入力すると、標準の作業時間数と、いつまでにどんな作業をするかまで表示されるようになっている。
- 実際にLSPに基づく作業を開始するとともに、一定の期間をおいて追跡調査を行った。「作業システムチェックリスト」という評価表を用いて、RE基準を満たしているかチェックするという仕組みで、90点を及第の目安とした。
- 作業が予定通りはかどらなかったり、RE基準を満たしていなかった場合、その原因を調べ、作業改善、能力開発を行った。作業環境、人員配置、スタッフのスキルのいずれかに問題があることが多い。
- ケースによっては、この段階で基準値そのものを見直した。作業方法が悪ければ方法を改善し、基準値がおかしい場合は見直しを実施した。
- 最後に、LSPの導入業務を本部から現場のマネジャー、店長に引き継ぎ、以後のLSPは店舗主導で行った。
- LSPが軌道に乗った時点では、店舗ごとに展開するのではなく、グロサリーなどの部門ごとに展開していった。
- 効果として挙げられる主な内容は、
- 全ての社員がLSPのシステムを基に1日のオペレーションを考え、指針として活用するようになった
- 作業上の問題を現場のスタッフが解決する仕組みが構築された
- スタッフの異動と作業の引き継ぎがスムーズに行われるようになった
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