受賞の観点
従業員の意識改革を促す仕組みの構築で、利益を生み出すサービス体制を確立
提供サービス
ゴルフ場再生事業とは、経営に行き詰まったゴルフ場を買い取り、再生し、軌道に乗せるファンド(投資)・運営ビジネスのこと。2001年に事業を開始し、2004年、現在の組織に移行。「従来の上から目線の経営でない、顧客視点に立った運営及びサービスの提供」を目指し、着実に運営成果を上げている。
ハイ・サービスのポイント
従業員の意識改革を促す研修プログラムを作成し、運営会社の移行による従業員の不安や疑念を払拭させ、モチベーションの維持・向上に成功している。また顧客満足度調査を頻繁に行うとともに、従業員満足度調査も定期的に行い、それぞれの結果を現場にフィードバックさせ、相乗的なサービスの深化に取り組んでいる。
- IT活用によるゴルフ場運営管理や、科学的手法導入によるコース(芝)管理の効率化などを実施。各ゴルフ場のコンディションを最適に保ちながら、グループ規模のスケールメリットを生かした経費削減を行っていった。これらの施策により、ゴルフカートのフェアウェイ乗り入れを可能にするなど、これまでの常識にない様々なサービスの提供も可能となり、ゴルフ場再生をビジネスモデルとして確立させたほか、利用するゴルファーからも高い評価を得ることに成功している。
- 旧来のゴルフ場から引き継いだ従業員に新しい管理・運営方法を理解して貰うために、支配人にはリーダーシップ研修を、サービスフロントにはホスピタリティー研修を、コース管理者には技術研修を行うなど、各スタッフ業務に最適な研修プログラムを作成し、各自が受け持つサービスに対する意識・技能の向上を図った。
- 従業員研修の一環として、周辺のグループゴルフ場の従業員をパートナーとして呼び寄せ、所属するゴルフ場の再生状況を苦楽を共にする同僚目線から語ってもらう手法を考案。結果的に、それまで希薄だった、エリア内のグループゴルフ場同士の「横のつながり」が活発化し、新たにグループ入りした従業員の安心感やモチベーションを高めることに成功し、エリアを生かした新たなサービスの提供に結びついていった。
- グループに加入したばかりのゴルフ場にはトップダウン施策で経営姿勢を明確に伝え、充分に顧客第一主義が根付いたゴルフ場では現場からのボトムアップに任せるなど、各ゴルフ場の状態に合わせた方針を使い分け、各段階での意識改革・意識向上を促していった。
- 顧客サービスの向上には、気候などの物理的条件や立地などの周辺条件などによる、各ゴルフ場の個性を生かした管理が必要と考えているため、一律的なコスト削減は行わなかった。その代わりにグループ全体でのスケールメリットを生かせる部分に関しては徹底した効率化を図るとともに、各従業員にはきめ細かい意識を徹底させていった。
- 従業員のスキルやサービス意識が向上したことでコース管理の精度も上がり、「アーリーバード」と呼ばれる早朝サービスや、「トワイライト」と呼ばれる午後過ぎからのサービスなど、ゴルフコースを最大限活用した、顧客のニーズにもマッチしたサービスの提供が可能となっていった。
- これらのコスト削減とサービスの質や種類の向上により、赤字ゴルフ場を「利益を生み出すサービス体制」を持ったゴルフ場に再生。年間利用者3万人未満、1億円の年間赤字であったゴルフ場を、年間利用者6万人、2億円の年間黒字に再生するなどの成果を上げている。
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