受賞の観点
農作物の受注生産システムの構築により、成長の見込める安定した収益を確保
提供サービス
従来の収益性が低く安定性の乏しい農家経営を一度白紙に戻し、生産側と流通側の双方が情報を共有し「パートナー」として展開することが可能な農業のビジネスモデル構築ができないかと考え、和郷園の活動を開始。受注生産システム、野菜加工工場、トレーサビリティー確保などの食の安全性の確立、リサイクル工場のそれぞれが連動して機能するビジネスモデルを構築。契約先の要望に応じた農作物を受注生産納入することで高い評価を得ている。
ハイ・サービスのポイント
農業を「製造+流通+サービス」の複合事業として捉え、従来の農業流通常識を打ち破り、受注生産方式採用により安定した収益構造を確立した。
- 流通・販売側が必要としている商品を、必要とされる品質・価格で生産・供給するためには、従来の市場経由ではなく、事前に売買契約を行い、価格や生産品質をお互いに確定させてから種をまき、農産物を育てる新しい生産・流通プロセスの構築が必須と考察。農業の生産・流通において、生産側と流通側がお互いの理解の下でパートナーシップを構築し、物づくりの大変さと物を売ることの大変さを理解し合った上で、最終顧客となる消費者に受け入れられる農産物の生産・流通・品質管理システムを導入することを目標とした。
- 受注生産システムを模索している中で、大手スーパーのバイヤーから無農薬野菜の生産を持ちかけられたことから、流通側のニーズ(注文)に応じた農産物の生産というスタイルが可能であることを確信。無農薬や低農薬の野菜生産から受注生産システムの構築を開始した。
- 受注生産システムを稼働していく過程で、トレーサビリティー確保などに代表される食の安全性確立の流通・販売面での重要性に着目。無農薬・低農薬野菜生産時からのデータベースを基に、適宜適量、そして的確な農薬・肥料の使用及び履歴を構築。これらのデータの存在により、食品事故に対する取引先への保障(保険への加入)が可能となり、和郷園取り扱いの農作物に、質の良しあし、流通価格の高低だけではない価値を付加することを可能としている。
- 受注生産システムを開始する上で、自然へのリスクヘッジとして生まれる余剰生産分の商品化対策が必要となり、カット野菜などを生産する加工工場を設立。規格外の作物を商品として出荷できるメリットもあり、受注生産のバックアップシステムとして有効に機能させることに成功した。また地域雇用を生み出す事業としても機能している。
- 農業という土着性を持った事業を行う上で地域との連携は必須であると考えて、その地域に即したノウハウを構築し、循環型の農業を達成するべく努力を重ねている。野菜くずや近隣の酪農家からの牛糞を原材料とした堆肥生産のリサイクルも、近隣の農家と提携することで需要と供給のバランスを取って行う事業として実施し、効果を上げている。
- 受注生産システム、野菜加工工場、トレーサビリティー確保などの食の安全性の確立、リサイクル工場のそれぞれが連動して機能し、自社と販売・流通サイドとがかみ合う「両輪の揃った」ビジネスモデルを構築できた。
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