受賞の観点
経営理念の共有と従業員満足度の向上で実現した高品質な顧客サービス
URL |
|
業種 |
観光・宿泊・リゾート |
所在地 |
長野 |
事業概要 |
温泉旅館 |
市場特性 |
ニッチスペシャリスト型 |
業態特性 |
ハイバリュー型 |
取引特性 |
BtoC型 |
環境特性 |
広域サービス型 |
提供サービス
高品質の行き届いたサービスと心から寛げる旅館づくりで、1年先まで予約がとれない秘湯の人気旅館。全国各地にリピート客を持ち、口コミを中心に客室稼働率100%を維持し続けている。
ハイ・サービスのポイント
旅館業のサービス提供価値を突き詰めた結果、顧客満足(CS)と従業員満足(ES) の同時達成を企業理念に設定。ハイシーズンの休館日や、業界の水準をはるかに上回る客室当たり従業員数の確保により、従業員がゆとりを持って働くことでクオリティーの高いサービスを提供し、「日本一予約が取れない温泉旅館」の評価を獲得している。
- かつては家族を含めて6~7人での経営だったが、89年のリニューアルを機に従業員17名でスタート。現在は70名に。給与水準を含め、当初より従業員の働き方には配慮したが、その程度の人数にも関わらず、すぐに人間関係でトラブルが発生した。
- リニューアル当初のトラブルを経てみんなで議論する中で、働く者のつながりが欠けていることが分かってきた。家族経営であれば「血」のつながりがあるが、企業経営には何もないことから、異なる生き方をしている全員が共感し共有できる核が必要であり、それがすなわち「経営理念」であるという考えに到達。そこで経営者と従業員が価値観を共有するために、顧客満足の追求だけにとどまらず、従業員の幸せや企業としての社会的使命までを視野に入れた「経営理念」を成文化した。
- 従業員の幸せを追求すると、旅館業の“人生の縮図”とも言うべき宿命的課題にぶつかった。週末と平日の稼働差に加え、季節によるオン/オフがあり、朝から晩までの勤務時間が長い。これでは旅館に働く者は家庭を大事にする生活ができない。そこでリニューアル後5年目でハイシーズン時を含め、年間13日の休館日の設定を始めた(現在は年間27日になっている)。オンとオフの格差をなくし、オールシーズンの稼働日を満室にすることを通して、雇用の安定と「幸せをアートする」という企業理念の実現を目指している。
- 従業員の教育にあたってはマニュアル類は一切ない。対応すべき課題が1万個あったとして、全て解決できたときには次の1万個が出てきているはず。一つひとつの課題をみんなで深く考えることによる「価値観の共有」を最優先とし、理念を共有する場として朝礼があり、先輩後輩を超えた健全な批判精神と「自己検証力」を重視している。
- 様々な取り組みの結果、旅館業には珍しく地元雇用率が100%となり、定着率もアップ。その結果、経営理念等の価値観の共有やノウハウの伝達もスムーズになった。また年間を通じて連日がほぼ満室状態であることから「日本一予約が取れない温泉旅館」と言われ、2回以上訪れる客は全体の8割に上る。
一覧に戻る