受賞の観点
「妖怪」を切り口に、企業経営の考え方を取り入れ地域の活性化を豊かなソフト力で持続
提供サービス
「鬼太郎」や「妖怪」をテーマ とした妖怪オブジェを商店街の歩道に設置するという「水木しげるロード」の構想に始まり、「妖怪神社」の建立や、「水木しげる記念館」の開館によって観光客を増やし、地域の活性化にも大きく寄与している。
ハイ・サービスのポイント
同協会の強みは、「妖怪」というユニークな切り口でハードの企画、ソフトの企画、企業のタイアップ、協会の自主事業などをタイムリーかつ積極的・波状的に推進することで、一過性のブームに終わらない継続する活性化を実現した点にある。
- 境港市は一時は水揚げ日本一を誇る漁業の町だったが、漁獲量の減少が続き、町の活力が低下。地元の活性化事業の話合いの中から、「鬼太郎」「妖怪」をテーマとした妖怪オブジェを商店街の歩道に設置する「水木しげるロード」の構想がまとまり、1993年に「水木しげるロード」がオープン。当初は市民のための親しみのある快適な道として整備することを意図して着手したコミュニティーロードであったが、テレビや新聞・雑誌が大きく取り上げたため、全国から「妖怪ファン」が押し寄せ、2003年の「水木しげる記念館」が開館した年には、85万人の観光客を呼び込み商店街は一気に活性化した。
- 順調だった入込客数が記念館オープン効果の薄れた2004年に78万人と一度減少したことから、「活性化し続ける」ため第2フェーズの取り組みを開始。「妖怪ブロンズ像」のスポンサー募集による資金捻出や多様なイベントの創出、こまめなプレスリリースや記事にしやすいデータの提供などによる新聞、テレビ、雑誌などメディアの活用、また民間企業・団体とのタイアップによる鬼太郎列車の運行や鬼太郎フェリー、鬼太郎交番企画などで、2006年は92万人、2007年は147万人、2008年は172万人と飛躍的に入込客数を伸ばした。
- メディアの活用効果を重視しており、テレビや新聞の露出効果を広告宣伝費換算している(2007年で18億円、2008年は27億円の見込み)。
- 市の予算だけに頼らず、観光協会主体でブロンズ像の追加に必要な資金調達(スポンサー募集)に着手。また協会独自の事業としてCD製作・販売、出版などのオリジナル商品を展開し、協会予算5,300万円の半分程度をこの事業収入で確保している。
- 2008年172万人という観光入込客数を達成。試算では120億円の経済効果となっており、地元企業や市民ボランティアなど、市全体の活性化にも寄与している。また商店街の活性化のみならず、周辺地域の活性化までもを実現し、皆生温泉など近隣地域の集客にも波及的な効果を与えている。
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