受賞の観点
上質なサービスで国内外から支持を受ける日本の小さな温泉旅館
URL |
http://www.kayotei.jp/ |
業種 |
観光・宿泊・リゾート |
所在地 |
石川 |
事業概要 |
温泉旅館 |
市場特性 |
ニッチスペシャリスト型 |
業態特性 |
ハイバリュー型 |
取引特性 |
BtoC型 |
環境特性 |
国際サービス型 |
提供サービス
数寄屋造りの小規模な純和風温泉旅館。一貫して小規模な日本古来の旅館スタイルを徹底することで、顧客への細やかで行き届いたサービスを追求。また顧客の2割強を外国人客が占め、海外のホテルとの連携や富裕層向け旅行博「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット(ILTM)」に参加するなど、国際展開にも先進的な取り組みをみせている。
ハイ・サービスのポイント
「本物のもてなしとは何か?」を突き詰めたコンセプトを利益よりも優先して徹底追求。大規模旅館の建物やサービスの対極にある深く、こだわりあふれる旅館づくりに注力することで、国内外から高い評価を獲得。
- 1973年のオイルショックを契機に、団体ツアーの誘致を前提にした規模と効率性重視のサービスはやがて破綻すると考え、次代にあるべき旅館像を徹底的に検討。地域に根ざした上質なサービスの提供を目指すとともに、サービスの追求の徹底を課題とした。
- 大規模な宴会場や全国一律の懐石料理などは供給側の都合でしかないと考えた末、1977年に採算性や客室稼働率などを無視して、小規模旅館にリニューアル。施設面では1万坪の敷地に10室の客室(収容人数25人)とし、シックハウス建材をオーガニック材に変更した。サービス面では生産者名まで分かる地場の食材・食器による料理の提供や外国人旅行客への伝統工芸の現場への案内を実施。販売面でもオープン披露や宣伝費、旅行代理店との契約は一切なしと、観光業界の常識とはかけ離れたスタイルを貫いた。
- 顧客層が全て入れ替わり、リニューアル当初3年間は経営的に苦しい状況が続いたが、口コミにより宿泊客やリピーターが徐々に増加。また食材や食器など仕入面での賛同者が現れるなど、徹底したコンセプトの追求が各方面にプラスの波及効果を見せ始めた。
- 増え始めた宿泊客には、各界の著名人や海外旅行客が多かったことから多くのマスコミ取材を誘発し、講演やシンポジウムなどにも出席する活動が増えた結果、イタリアの「アバノテルメホテル プレジデント」社長と知己を得、同ホテルのシェフを招いた宿泊プラン提供や相互の顧客紹介などを10年以上にわたって続けている。2007年には、フランス(カンヌ)での「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット(ILTM)」にオールジャパンとして出展した際の委員として参加。また「地方の元気再生事業」(内閣府)では地元の若手経営者・職人と組み、調査事業や海外誘客事業など様々な取り組みを行い、2009年には富裕層市場に関する観光、食などをテーマにして「ラグジュアリーライフスタイル国際会議」を地元金沢で開催した。
- 洗練された「日本のおもてなし」等、数字に現れない簿外の資産作りの大切さを全従業員にしっかりと意識させ、その洗練された「日本のおもてなし」により、顧客には社会的影響力の強い著名人・文化人・経営者、外国人などの宿泊客が多いほか、リピート率も高く、結果的にマスコミの取材や記事掲載によるPR効果も高い。現在の厳しい経済状況でも客単価は約5万円で、外国人旅行客が約2割を占めている。
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