受賞の観点
蓄積したノウハウと新しい運営手法によるサービスで入場者数が増大
URL |
http://www.enosui.com/ |
業種 |
観光・宿泊・リゾート |
所在地 |
神奈川 |
事業概要 |
水族館 |
市場特性 |
ニッチスペシャリスト型 |
業態特性 |
ハイバリュー型 |
取引特性 |
BtoC型 |
環境特性 |
地域サービス型 |
提供サービス
2004年、民間に資金と運営を委ねる公共サービスの提供方法であるPFI(Private Finance Initiative)方式により、「江ノ島水族館」から「新江ノ島水族館」に名称を変え、「体験型アミューズメント施設」としてリニューアルオープン。学習と楽しさが両立する「エデュテインメント型水族館」として、これまで蓄積してきた飼育技術やノウハウをベースにした様々なサービスを提供している。
ハイ・サービスのポイント
日本の近代水族館第一号と称された旧江ノ島水族館から連綿と蓄積してきた屈指の飼育技術と学術的知見、運営ノウハウなどを強みに、PFIという仕組みを通じて集客のプロ集団を形成し、年間130万人の集客を維持している。
- 昭和29年設立の旧館は近代水族館第一号といわれ、昭和30年代のピーク時には年間約200万人を集客。それまでの付帯施設ではなく日本初の専業水族館として誕生し、世界で6番目、日本初の臨海水産試験研究所を設けたことで日本海洋学発祥の地といわれた。アカデミックな志向が強く、累代繁殖として唯一の4世代イルカを飼育するなど高度な飼育技術をもつほか、学術機関との共同研究も多数行っている。しかし投資が後手に回り、オイルショックやバブル崩壊を経て、リニューアル前の入場者数は年間30万人にまで逓減。
- 江ノ島湘南海岸エリアの一体的整備計画「湘南なぎさプラン」により、PFI事業推進が始まる。現館長の人的ネットワークなどを活かしてオリックスの出資を得、PFIコンソーシアムの結成と事業化がスタート。30年間存続させる施設づくりを目標にした。2004年の初年度は180万人に始まり、以降も毎年130万人と高い入場者数を維持している。
- 長年にわたる旧館での取り組みや体験をもとにした様々なアイデアとそれを可能にする技術やノウハウがあることから、学習と楽しさが両立する「エデュテインメント※型水族館」として、展示、ショー、物販・飲食を含めた一体的な施設とサービス構想を具体化させていった。(※「education(教育)」と「entertainment(娯楽)」を組み合わせた造語)
- 顧客にとっては展示以外の館内案内や物販・飲食を含め、全てがコンテンツであるとし、入場料2000円に見合う価値の提供など集客を重視。年間何回でも入場できる年間パスポート券を販売し、全入場者の15%を占める会員数4万人を獲得、会員自身の来場頻度の向上だけではなく、友人の同伴、口コミの起点として機能している。また年2回実施するアンケートの結果を、展示・ショー・物販などの改善や新企画の開発など多面的に活用している。体制面では、チケット販売・改札・館内案内など、サービス・物販・飲食・清掃・警備それぞれを専門会社に委託。事業管理を行うオリックスは採算性など数値管理や目標管理に厳しく臨み、水族館やサービス会社のスタッフたちにも、異業種間での交流を通して、いい意味での数字へのこだわりが生まれている。
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