受賞の観点
オリジナルのサービスメニュー開発で、リピート率85%を実現する「滞在型ホテル」
提供サービス
健康運動指導士・実践指導者など質の高いトレーナーを雇用して作成した健康づくりプログラムや、日帰りバスツアー「斎藤駕籠屋」、また信州各地の自然に触れる日帰りツアー「自然塾」などのオリジナリティーにあふれるサービスを提供することで、利用者を飽きさせない「滞在型ホテル」を実現している。
ハイ・サービスのポイント
同社の強みは、温泉地の伝統を守りつつ、時代のニーズに即した健康プログラムを核にすえ、フリー客主体の新しいスタイルの滞在型ホテルとしてリピート客の獲得など経営の変革に挑戦した点にある。
- バブル期、全国の温泉地がツアー客、団体客や宴会、設備投資へと走る中、斎藤ホテルはフリーで滞在型を打ち出しリニューアルしたものの、当初は想定通りにはいかなかった。しかし古くから湯治場として栄えてきた鹿教湯温泉にあって、「健康づくり」はトレンドや差別化などとは無関係の「使命」であったことから、滞在型メニューの充実を推し進めた。
- リニューアル当初は、「滞在型」「健康づくり」といった切り口では、旅行代理店のマスチャネルでの販売は難しかったため団体の誘致や、口コミでの集客、広告宣伝・DMなどによる自力での集客が必要であった。しかし4年目くらいから徐々に滞在型の個人客が増加。契機は、4泊目の宿泊料を無料にする「滞在型料金割引プラン」の設定と、県内観光地を無料で案内するという「着地型観光プラン」の実施にあった。
- 健康運動指導士・実践指導者など質の高いトレーナーを雇用し、独自の健康づくりプログラムを開発し、2カ月ごとの頻度で更新している。企画・開発は、トレーナーの提案、社員同士での相談、外部研修へ参加や有識者への相談などにより、多様な宿泊客のニーズに応えるため、現在も試行錯誤を重ねている。
- 同ホテルでは顧客は建物やサービスではなく「人につく」という考えから、顧客との関係性が最も重要だと考え、「お客様に健康になって、快適になって戻っていただきたい」というホテルサイドの思いを伝えるためには、具体的にどのように具体化するか、何が必要かまでを全部門の社員一人ひとりに課題として与えた。その結果、自発的な工夫や提案が自然に組織文化として定着し、従業員の「顔写真」と「手書き」の手作りパンフレットなどの営業ツールも生まれ、顧客からの手応えも感じられるようになった。
- ホテル添乗員がつく一方で、現地到着後は自由行動ができ、高齢者へ配慮し、車いすにも対応する日帰りバスツアー「斎藤駕籠屋」や、信州各地の自然に触れる日帰りツアー「自然塾」、また山岳ガイド付きのツアーなどの「着地型観光メニュー」を提供している。
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