2010年12月9日
<2010.12.9開催>グローバル・サービス・フォーラム「第2期中国サービスビジネス研究会」
第2期中国サービスビジネス研究会が10月28日からスタートしました。本研究会は、中国市場での事業の現地化やグローバル化を通してのイノベーション、現地人材の効果的な育成と活用方法に焦点をあてたベストプラクティスの場として、ご参加者相互の「知の共有」を促進し、中国市場での成功のポイントを模索することを狙いとしています。
10月28日に開催された第1回研究会は、「中国で売るためには~日本企業はなぜうまく売れないのか」をテーマに開催しました。日本企業は、中国市場での販売を拡大しようとしているものの、うまくいっていないというのが現状です。そこで世界最大級の企業間国際取引サイト“Alibaba.com”やアジア最大のB2C 電子商取引サイト「淘宝(タオバオ)」をグループに持つアリババマーケティング株式会社 執行役員の大塚順彦 様から、中国におけるインターネットを活用した売り方(EC)や中国人のニーズにマッチした情報提供の方法についてお話を伺いました。
大塚様からは中国EC市場の潜在力や「淘宝(タオバオ)」や世界最大のB2B電子商取引サイトである“Alibaba.com”の運営方法についてご説明頂いた後、参加者との間で活発な質疑応答が交わされました。その中で大塚様からは、中国に進出している日本の中小企業の傾向として、
・ 自分から貪欲に情報を収集しないため、自分の本当の姿を知らない。そのためマーケティングが手薄のまま、闇雲に進めている
・ ハングリーさに欠けており、スピードや権謀術数の競争に慣れていない
・ 販売交渉力が低く、ある意味“良い人”にとどまってしまっている
・ 長期的なビジョンに欠け、短期的利益のみに関心があることが問題
といった率直なご意見を頂きました。
【第1回研究会における質疑応答の模様】
11月19日に開催された第2回研究会は、「中国における資生堂ブランドマーケティング」をテーマに開催しました。
中国におけるブランド定着やマーケティング戦略は、従来の経験が通用しないことも多く、進出する多くの企業が苦戦を強いられています。こうした状況の中でも、資生堂は“AUPRES”や“URARA”などのブランドで、浸透・定着に成功しています。その成功につながった経緯と具体的なマーケティング戦略について、株式会社資生堂 中国事業部 マーケティング開発部 次長の太田正人 様からお話を伺いました。
太田様からは中国市場と売上状況、中国事業の今後の展望、チャネル別ブランドマーケティングなどのお話を頂いた後、参加者との間で活発な質疑応答が交わされました。その中で太田様からは、
・ 資生堂のグローバル戦略の根幹として、資生堂イメージの分散、ブランド価値の低下を避けるために、海外においては国内と一線を画したプレステージマーケティングを展開していくことがある。日本では百数十年の伝統があるが、海外ではまだ資生堂ブランドが浸透しているとは言えない。
・ 「高品質、高機能、安心・安全」が中国進出をする上で大きく貢献した。今後はそういったハード面に加えて「おもてなし」などのソフト面を充実させることが必要であるが、日本流の「おもてなし」をベースにしながら中国人に対してローカライズすることは必須である
・ 中国におけるブランド育成には時間がかかるので焦りは禁物
などの率直なご意見を頂きました。
【第2回研究会における太田氏のプレゼンの模様】
第3回以降の研究会では、中国における「サービスの差別化」、「法務リスク」などをメインテーマとして、中国におけるサービス産業展開のキーポイントを探っていきます。