ハイ・サービス日本300選
2015年4月22日
今回は、「日本交通株式会社」のハイ・サービスのポイントを紹介します。
「タクシーは“ひろう”から“えらぶ”時代へ」をキャッチフレーズとして、優良な乗務員による接客サービスを軸として営業を展開し、顧客満足を追及しています。
そんな日本交通のハイ・サービスのポイントと「人材育成」、「仕組みのシステム化」をキーワードとした今後の展望について、ご紹介します。
★ハイ・サービス日本300選 第2回受賞★
外部機関の協力による人材育成
★ハイ・サービスのポイント★
【第2回受賞時のポイント:人材育成】
●提供サービス
都内16カ所(2010年4月現在)に自社専用の乗り場を設置し、タクシーを乗り場に常駐させるための配車管理を徹底。車両を色分けし(黒/黄)、黒塗りタクシーには、優良な乗務員による接客サービスを提供している。
●ハイ・サービスのポイント
同社は、長年にわたるハイヤーとタクシー事業の実績から自らの強みを見直し、台数増とともにサービスがコモディティー化してきたタクシー業界の中で、トップセグメントを相手にした事業へのシフトを図り、外部機関の協力を受けてマニュアル作成など人材育成に努めている点に他社にはない強みがある。
【現在の取り組み -インタビューより- 】
■「選ばれるタクシー」の仕組みを展開
日本交通は「タクシーは“ひろう”から“えらぶ”時代へ」をキャッチフレーズとして、優良な乗務員による接客サービスを軸として営業を展開し、顧客満足を追及しています。需要に応えるための供給量確保として同様のサービスを提供するフランチャイズ企業は22社に増え、現在都内約3,400台のタクシーがサービスを提供しています。さらに接客ノウハウは地方子会社(立川、横浜、小田原、埼玉、館山、前橋、大阪)へも展開しています。また、お客様が日本交通を選べる環境をつくるために、都心部に専用乗り場設置を続けるとともに、2011年には日本初となるスマートフォン配車アプリ「日本交通タクシー配車」「全国タクシー配車」を自社開発しリリースしています。
■維持継続の仕組みをシステム化
単に社内資格制度を創設しただけでなく、サービス品質を維持向上する仕組みとして、社員による覆面乗車チェック「モニタリング・チェック」を2007年秋より実施しています。当初は期間を区切って実施していたチェックは現在では年間通じて実施され、毎月約400件のサンプルを収集しています。モニターは降車時にその場で乗務員に結果をフィードバックするとともに、その場でパソコンまたはスマホからWeb上に入力することで、リアルタイムに当該の運行管理者に伝えられ帰庫後も確認できる仕組みを構築しています。同時にデータは即時集計され、事業所ごとのランキングもリアルタイムで確認できます。乗務員においても日常的に出庫前ロールプレイングを行うなど、意識の向上が見られます。2012年に都内初となる妊婦送迎「陣痛タクシー」サービスを提供開始できたのも、基礎的な乗務員教育があったからこそ実現できたものと考えています。
■より高みを目指す社内キャリア制度の構築
また、黒タクの社内資格制度から更なるキャリアアップの仕組みとして、専門スキルと高いホスピタリティとを兼ね備えた精鋭乗務員(エキスパート・ドライバー)を選抜し、専門分野に特化したサービスを提供するタクシー「エキスパート・ドライバー・サービス(EDS)」を2011年から開始しました。具体的には、子ども一人でも安心して乗れる「キッズタクシー」、東京の魅力を伝える「観光タクシー」、お年寄りのお出かけをサポートする「ケアタクシー」の3分野があり、個人客の新たなニーズを掘り起こし業界を活性化することに成功しています「エキスパート・ドライバー・サービス(EDS)」のクオリティを評価いただき、他企業(日本航空スマイルサポートサービス、三越日本橋本店、全日空らくのりサービス)との連携も実現しています。
■多様なサービスメニューの提供と人材の育成へ
2015年1月からは「日本交通タクシー配車」アプリ限定サービスとして、ハイヤークラスの車両と選抜された優良乗務員によるタクシーサービス「VIPタクシー」を開始し、新たなニーズの掘り起こしを目指しています。また現在約7,000名いる日本交通のタクシー乗務員のうち、上記「エキスパート・ドライバー・サービス(EDS)」に対応する乗務員は約130名でありますが、資格取得の促進や英会話講習等の社員教育に注力し、社員のスキルの底上げ、更にはより多くエキスパート・ドライバーの育成を目標として取り組んでおります。社内での新たなキャリアパス制度の構築と人材育成を通じて、「選ばれる会社」から「選ばれる個人」への進化を目標としています。
■「新卒乗務員」の採用へ
また、高品質なタクシーサービスの提供は、お客様のご満足を感じることで乗務員にとってモチベーションのアップにつながり、社会的価値の再発見となっています。このことが、タクシーは「人と人との出会いを演出できる」高付加価値な移動サービスとして、若年者、新卒者からも選択される、魅力ある職業の一つとして新たに注目を集めることにもつながっており、2012年からは定期的な新卒乗務員採用を開始しています。新卒乗務員は新たな労働力として採用を拡大していく予定で、同時にタクシーのイメージアップを図り、首都・東京を訪れる国内外の多くのお客さまにとって「快適な移動空間」を実現していきたいと願っています。
(2015年4月現在)