2015年2月3日
15年前のことです。平日昼のソウルの地下鉄は乗客もまばらでした。ふと見ると、下半身が麻痺した男性が、床に座ったまま移動してきました。男性は乗客一人一人に「祈り」を捧げ、幾ばくかのお金を受け取っているようです。どうやら声も出せないようです。
車両の端までたどり着きました。ドアのノブは高いところにあって男性の手は届きません。どうするのか?男性は近くにいた大学生風の乗客を指し、手まねで「おい、ドアを開けてくれ」と合図しました(そう言っているように見えました)。乗客は心得た様子で手を貸し、男性は何事もなかったように次の車両に消えていきました。堂々たる態度です。自分は「祈り」という仕事で立派に人の役に立っているんだ、という誇りが見えました。あの男性は、今も元気でいるでしょうか?時々、無性に会いたくなります。