SPRING幹事より

2015年1月6日

富士通株式会社 顧問 秋草 直之 氏 (SPRING代表幹事) 年頭のご挨拶

~SPRING代表幹事より年頭のご挨拶~

 

新年あけましておめでとうございます。皆様には日頃より、SPRINGの活動にご参画・ご支援賜りまして、誠にありがとうございます。年頭にあたり所感を述べさせていただきます。

昨年6月発表の「日本再興戦略改訂2014」において、「サービス産業生産性協議会における高付加価値型のサービス事業モデルに関するベストプラクティスの分析と日本サービス大賞(仮称)の創設による普及」という活動指針が明記されています。

サービスはなかなか全体像をとらえにくいですが、サービス産業の方向性が政府から打ち出されたこともあり、産業としてのサービスはいかにあるべきかについて、改めて全体で見直す時期が来ていると感じます。サービスを「ものをつくる」から「ことをつくる」に転換していくことが一層重要となり、この点がもっと進展するように日本全体で加速させていく必要があります。

サービス業と製造業を分けて考えるのではなく、「プラットホーム」(場)という考え方で議論することを提案します。観光を例にとれば、神社仏閣、温泉、歴史的景観などの資源(もの)だけではビジネスとして成り立ちません。それをストーリー化、演出(こと)化することで、はじめて人を呼び込める観光として成り立つのです。ものの領域だけで勝負していては、企業はなかなか成長できません。

埼玉のイーグルバスは、赤字の路線バス事業を引き継ぎ、ITを活用した運行・顧客・コスト・改善過程の見える化に取り組みました。停留所の見直し、路線見直しを含むダイヤの改編、航空業界の「ハブ&スポーク」の考えを取り入れ、すべてのバスがハブに乗り入れ、乗り換えるという新たな発想により、輸送効率と利便性の向上を実現させました。ハブに病院やコンビニ、行政サービスなどの施設機能も集めて、バスというプラットホームで、地域活性化、生活機能の向上、産業雇用創出が一挙にできる包括モデルをつくりあげています。

旭川市の旭山動物園は、「行動展示」というコンセプトで、動物たちが動き、泳ぎ、飛ぶ姿を間近で見られる施設づくりを行った結果、来園者数が大きく増え、ホテルやタクシー、レストランなどの関連雇用を生み出し、地域活性化を牽引しています。

福島県のスパリゾートハワイアンズは、炭鉱業から観光業へと、ビジネス革新を成し遂げ、「温泉」と「ハワイ」を融合させた従来にない新たなテーマパークのジャンルを切り開きました。そこでは、ハワイアンズというプラットホームに、ホテル、レストラン、エステ、フラガールを代表とするショービジネスなど、様々な周辺産業が創られています。さらに、東日本大震災後は、一時閉鎖に追い込まれているにも関わらず、フラガールが全国を回るキャラバンを開始しました。その活動が東北の復興や福島の風評被害の払拭につながり、自社のみならず福島県に人を呼び寄せ、地域貢献に大きく寄与したのです。

2014年度は全国8カ所で「SPRINGシンポジウム」を開催しています。地域の声やサービス業の実態を聞くと課題はまだまだ多くあります。今年は地域のニーズに即した運営方法などシンポジウムのあり方を見直す予定です。新たな取り組みとして中小サービス企業の次世代経営人材育成事業「大人の武者修行」も展開しています。

「日本再考戦略改定2014」に明記された「日本サービス大賞」は、優れたサービス事業を「構造」「プロセス」「波及効果」等の観点で評価し、表彰します。制度設計の具体化や行政機関等との調整を進めており、今年度、確実に制定します。本制度によりベストプラクティスの一層の掘り起こしとサービス産業の底上げを図ります。


秋草直之 氏(サービス産業生産性協議会代表幹事)・談