事例紹介

2014年11月27日

株式会社一蘭 ~博多の文化を日本・世界へ発信~

 とんこつラーメンを世界一研究する会社「株式会社 一蘭」のハイ・サービスのポイントを紹介します。

 「味集中カウンター」による独自の店舗環境による味へのあくなき追求、人を軸にした「人間性」を高める経営理念や充実した教育制度により、唯一無二の存在感を誇る一蘭。商売発祥の地、福岡・博多とも連動し、「博多の文化」を世界へ発信しています。 「三方よし」を商売の基本とし「平成24年度 おもてなし経営企業選」選出企業も受賞されていらっしゃいます。

そんな一蘭のハイ・サービスのポイントと「イベント」「おもてなし」をキーワードとした今後の展望は、…
 
 
 
★ハイ・サービス日本300選 第9回受賞★
「サービスの向上と業務の効率化を同時に実現する独自の「味集中システム」を構築」

 
★ハイ・サービスのポイント★
【第9回受賞時のポイント:サービスプロセスの改善】

 
同社の強みは、顧客に最大限においしく自社のラーメンを食べてもらうために開発した独自の店舗システムが業務効率の改善や向上に大きく貢献するとともに、オリジナルの魅力となっている点にある。また経営理念をベースに顧客や地域、社会に貢献するさまざまな活動を行い、企業価値の向上にも努めている。

 
●一蘭は、1960年福岡市で創業され、独自の唐辛子をベースにした秘伝のたれなどが人気を博し、全国にファンを作った人気ラーメン店であった。その後、もともと一蘭の客だった現代表取締役社長の吉冨氏が屋号を守る形で、1993年に経営をスタート。


 
●1号店開店時より「替玉システム」と「オーダーシステム」を始め、後の「味集中カウンター」の基礎となる目隠し暖簾をカウンター各席に配置。目隠し暖簾に加え、隣席に仕切り板を設け現在のスタイルとなったのは4年後。取り外し可能な仕切りに開発するなど、年々進化を遂げている。基本的に店員とも顔を合わさずに済む仕組みで、女性客のラーメン店への入りにくさの緩和にも役立っている。また半個室とすることで、会話などに時間を割かれることがなく、結果的に顧客の回転率が向上。2009年からは家族連れやグループで来店する顧客向けに「味集中個室」の導入も始めている。
 
●博多ラーメンでは「替玉」と呼ばれる麺のおかわりは当たり前だが、おかわりをする姿を見られたくない女性客などに配慮し、声を出さずに替玉ができる元祖「替玉システム」を開発。替玉プレートをテーブルの前のボタン上に乗せるとチャルメラ音が鳴り、従業員が替玉プレートを回収に来るという仕組み。プレートは麺のかたさや量によって色分けし、厨房での作業ミスを防止。
 
●個人の微妙な味覚の違いに応えるため「オーダーシステム」を採用。顧客は専用のオーダー用紙の選択肢に丸をつけていくことで、簡単に味を自分の好みにアレンジすることができ、店側では聞き間違いや注文を取る手間、厨房での作り間違えがなくなるなどの効率化が図られている。オーダー用紙のレイアウトは、厨房のスタッフが作りやすいよう改良を重ね、また外国人客が多いことから、英語、韓国語、中国語のオーダー用紙も用意している。
 
●「味集中カウンター」「替玉システム」「オーダーシステム」や店舗レイアウト、その他システムなどを含めた「味集中システム」は、2009年に特許承認を取得。顧客とスタッフの導線がぶつからず、半個室であっても客の動きやオーダー状況を的確に把握できるなどで、人員やスペースを最大限に有効活用している。


 
●コンセプトと顧客への提供価値を守るため、直営だけで展開を行っている。
 
●顧客とスタッフとの接点が少ないため、店舗でのアンケートシートやホームページでの顧客の要望などを重視。また、こうしたアンケートの回答や専門の顧客対応要員の対応状況は、社員全員で共有している。
 
●マニュアルはあってもマニュアル通りにこなすのではなく心を込めて接客できるよう、アルバイトのスタッフにも、まず入社時にマナー研修とコミュニケーション研修を実施し、相手を思いやる接客サービスに力を入れている。

 
●福岡県と協力してラーメン専用の小麦「ラー麦」を開発し、福岡の中洲店限定で提供。博多ラーメン全体のブランド力の向上、地産地消、国内食料自給率向上への貢献を図っている。また、かねてよりスープを取った後の豚骨ガラを肥料化するリサイクルに取り組んでいたことから、福岡県リサイクル総合研究センターなどとの共同開発メンバーとなるとともに毎日1.5トンの豚骨ガラを提供。豚骨ガラは「福岡とん骨粉」という肥料に加工され、ホームセンターなどで販売されている。
 

 
 
【現在の取り組み -インタビューより- 】
 
店舗形態に関しては、味集中カウンターに加え、博多昭和の屋台の雰囲気で創り上げたテーブル席を導入。消えつつある博多の屋台文化を残していこう、そして博多の文化を日本・世界へ発信しようということで始めました。
                                                                
従業員の研修は変わらず実施しております。昨年香港へ出店する際にはオープニングスタッフを事前に福岡へ呼び、約2ヶ月間福岡で研修を行いました。来年のNY出店に向けてまたNYから現地スタッフを福岡へ呼び研修を行う予定です。                                                                   
地域の清掃活動、代表吉冨のボランティアでの講演活動等も変わらず行っております。
(謝礼金を頂いた場合はしかるべき団体へ寄付しております。)                                                
 
糸島市に工場を移設し「一蘭の森」と命名、工場見学、飲食スペースの他、とんこつラーメン博物館という、とんこつラーメンの歴史やできるまでの工程を展示したブースを設置。中には代表吉冨が子供達へ「商売の秘訣」を教えるブースもあります。                     
会社全体の売上げは2013年実績で100億円となりました。
 



 

【今後の取り組みの展望 -インタビューより- 】
 
店舗形態を味集中カウンターと屋台併設にすることでこれまでできなかったイベント等ができるようになりました。ご来店頂いたお客様により満足して頂けるよう様々なイベントをしていく予定です。
                                                                  
去年の香港出店を皮切りに海外展開が進んでおります。弊社の人間教育を通して日本の「おもてなし」の精神を海外にもお伝えできればと思って取り組んでおります。

 
2014年11月現在)

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