特別コンテンツ

    SPRINGとは

    入会案内

  • 日本サービス大賞
  • JCSI 日本版顧客満足度指数
  • 大人の武者修行バナー

    cafeバナー

    SPRINGフォーラムバナー

    日本サービス大賞

    日本サービス大賞

    会報バナー

    書籍紹介

    提言・宣言

  • 提言・宣言
  • ハイ・サービス日本300選

     

  • リンク
  • SES Service Evaluation System:サービス評価診断システム

     開発・運営:(株)インテージ

イベントレポート(~2014年度)

2010年8月4日

<2010.7.15開催>中国サービスビジネス研究会~中国進出企業のベストプラクティスに学ぶ~第4回研究会

第4回研究会では、野村総合研究所 事業戦略コンサルティング部1部2部 部長、前 野村綜研(上海)総経理の中島久雄氏から、「中国市場戦略~日本企業の課題と展望」をテーマにお話頂きました。
 

野村総研は、1983年から上海市投資信託公司と合弁で事務所を開設し中国でのコンサルティング事業を開始しています。その後CTIC(中信)グループとの合弁を経て、2002年には独資として上海に有限公司を設立し、日系企業の中国進出コンサルティングを多数手がけています。
中国市場の今後の動向と日本企業の課題について、幅広い視点からお話をお伺いしました。 
 

 
上海の変化する消費ニーズ
 
中国は、現在もなお高い成長率を維持しており、購買意欲も依然高い状態が続いています。ただ、消費傾向は変化しており、上海市では、通信・教育など衣食住以外の教育文化娯楽などのサービス消費支出が拡大するステージに入っています。家電製品の普及も一巡しており、メンテナンスや応対などのサービスでの差別化が今後の競争の鍵を握っています。また、交通インフラ等の社会インフラ投資が継続されており、新幹線の開設や地下鉄網の充実により、駅上、地下街開発も今後進んでいくと考えられます。
 
 
沿海から内陸へと広がる中国消費市場
 
これまで成長を牽引してきた沿岸等大都市(北京・上海・広東省等)の成長は鈍化し、成長の中心が、「内陸」へと移ってきています。そのため、上海などの沿海部に進出しても今までのような急激な市場の拡大や成長は見込めないということを理解しなければなりません。今後は、内陸を視野に考えていかなければならないということになります。必要以上に価格を下げたり、テレビCMをたくさん流したりしても、地方都市ではそれほど効果はありません。インターネットやクチコミなどをうまく活用したほうがうまくいくケースも多いのです。
 

 
市場構造の変化に対応する日本企業の課題
 
拡大する中国市場に対しての日本企業の一番大きな課題は、「どう売るか」、つまり販売チャネルの問題です。総代理店任せにすると、かなりの手数料を取られてしまいほとんど手元にお金が残らないという状況になってしまいます。そのため、代理店改革、販売モデルの差別化、インターネット販売など、販売チャネルの問題をクリアするための様々な方法があります(日本企業や欧米企業がおこなう具体的な方法を提示してご説明いただきました)。
 
2番目の課題は、商品競争力です。日本の商品は現地ではどうしても価格が高くなってしまい、競争力に欠けてしまうことも多いのです。これには、品質を下げずに機能の単純化やチャネル別のブランド戦略を展開することで、現地化とコスト削減を実現したり、デザインやカラーリングの工夫で競争力を維持する方法をとることもポイントとなっています。
 
3番目の課題は、人材マネジメントです。最近では、ワーカーレベルの人材流出は以前ほどではないものの、中核となる人材の確保は難しく、管理職の離職率は、欧米企業の2倍以上です。また、日系企業では、中国語(言語)の問題だけでなく、報告やミーティングなどのコミュニケーションのルールが形式知化されていないことが問題になっています。日本人⇔中国人、現地法人⇔日本本社のコミュニケーションを効率化するために「グローバル共通言語」(形式化された輸出できる経営システム)を整備することが必要となっています。
 

 
第4回研究会のメインテーマである『中国市場戦略』については、「販売チャネルとして、インターネットショッピング(EC)の効果的な活用が重要」との指摘がありました。その上で、各企業のECを活用した具体的な展開事例についてのお話を頂きました。
 
 
米山茂美 武蔵大学経済学部教授のコーディネートにより、野村総研の中島様のご発表をもとに中国市場への展開という観点を中心に、質疑応答、活発な議論が交わされました。
 
  第4回研究会のまとめとして、米山コーディネーターから、全4回の研究会の総括として各回のポイントを振り返り、中国事業展開の共通課題として以下の問題提起がされました。
●中国事業の目的や戦略、到達点の再検討
●変えるべきものと変えてはいけないものの峻別
●日本企業としての(自社の)強みの再確認
●「平均」からの脱却
●パートナーシップ(現地企業との連携)の検討
●人材の採用・育成
 
 
第2期の中国サービスビジネス研究会は、10月からの開催を予定しております。中国の労働事情と労使関係、内陸部のマーケティング戦略、法務・税務の実態とその対処法、ブランド戦略などをテーマに中国における事業展開のキーポイントを探っていきます。8月下旬にはご案内をさせて頂く予定です。