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リーダーの声

2018年3月9日

株式会社ミールケア 常務取締役 丸山 寛典 氏

子どもたちに食文化を伝える
『考食師』による給食サービス

 

 

私たちの会社は、長野県に本社を持って創業27年目を迎えました、給食を中心にしたサービスの会社になります。自然豊かな場所に本社を構え、農業体験ができるような食育体験ヴィレッジを作り、子どもたちが普段学んだり、食べたり、遊んだりする場所も設けています。
また、7年前から、長野と関東全域含めまして、約300カ所の幼稚園、保育園の給食サービスを中心とした事業を展開させていただいております。
従業員は約1200名、パートナーさんも含めてではありますが、そのほとんどが栄養士や調理師技術を持っています。

 

“ずく“魂

これは、私たちの会社の社是になります。 『“ずく”出してみんなの夢にLet’s try!』という言葉で、長野県の信州ではこの“ずく”という方言ですけれども、みんなで元気を出して頑張ろうと、そんな意味が含まれています。そして働く社員一人一人の夢を、会社は実現していこうと。そういうことを会社の社是に挙げています。
その中でも私たちが大事にしているのは、やはり働く社員一人一人の尊重を、もっともっと成長させていくということで、人づくりを会社のベースとしています。
この人づくりといっても、“ずく”の本質、日本人の道徳の徳を重んじた人であるということが、私たちの企業で働く人の一番大事なことではないかということで、徳望、敬意という言葉を掲げながら、技術力ですとか知識はもちろん、その前に人としての大事な徳を積む、そんなことを社員教育としているという文化を持っております。
  

ミールケアの使命
ちょうどサービス大賞もいただいた時期に、私たちの活動をいろんな方に知っていただく機会がありました。そんなときに、日系の幼稚園、保育園の園長先生が、アメリカに来てぜひ食育活動をしてくれないかとお話がありまして、昨年の11月にメンバー3人で行きました。
そうしましたら、普段食べている食事よりも和食を食事に入れていきたいというお話ですとか、日本で住まわれた親御さんたちが、生活習慣や、マナーやしつけ、そういったことを伝えていく場所は、日本にいるときにはおじいちゃん、おばあちゃんや、いろんな人が教えていくが、向こうではそういう機会がないのでぜひ、教えてもらえないかと、そんな声を聞きながら、現地で食育活動といいながらも箸の持ち方というようなことなどを皆さんに伝えてきました。
 

    

日本の美しい食文化を未来に伝えていこうということを会社の使命としながら、この食を通じて文化を伝えることの価値というのは、非常に強くあるなと思っています。
食べ方ですとか、作法やマナーもそうですけれども、普段給食として作る献立の内容ですとか、調理方法、さまざまなものに、日本独自の工夫ですとか、その地域ならではの食材、もしくは地産地消の考えというものがありまして、日本の食文化を伝えていくということが、世界に発信してくことも含めて、大事なことではないかと考え、一つ給食というものに落とし込んで、仕事をしております。
特に、子どもたちの食事では、三つのことを掲げています。一つは、昔の食卓、おふくろの味、手作りの料理を伝えていく、二つ目には、正しい子どもの舌をつくるお手伝いをするということ、そして三つ目に、父のほほ笑みをつくるお手伝いをする。食事を生活の文化から伝えていく、そんなことを大事にしていきたいと考えております。
 

幼稚園・保育園給食サービス
なぜこの給食産業に入ったかという経緯を少しお話したいと思います。
幼稚園というのは、お母さんのお弁当を持ってきて、それを食べて、教育を学ぶという姿勢のもので、昨今ではお母さんが働くことが多くなってくる中、お弁当を持たせるよりも園でお弁当を用意してあげるという、こんなサービスを提供される幼稚園が、多くなってきています。
そんな幼稚園に行き、子どもたちのお弁当箱をぱっと開くと冷たくて、食べない子たちがいっぱいいて困っている、そんな声を非常に多く聞くようになりました。
  

 
何とか子どもたちの食事に温かいものを出すことができないかなと、給食にもっと思いやりですとか、おもてなしという、そんな気持ちを入れた食事を作っていきたいなということで、いろいろな幼稚園や保育園にご提案をしながら、私たちの一つの事業モデルというものを確立してまいりました。。
 

食育の先生「考食師」の確立
考食師という言葉ですけれども、私たちが勝手に付けた言葉で、食を考える先生というふうに、本当に単なる造語を付けて、その名前を下に社内の資格認定制度を作り、こういった先生を社内に創出しようということをプログラムにして、お客さまには専門性がありますよと、社内ではこういった資格を取って技術を磨いていきましょうということを、始めさせていただきました。
私たちがこの食育をやる中で大事にしている考え方に、持っている力を幼少期に引き出してあげようということをテーマとして取り組んでいます。単なる食育というような体験ではなく、幼児期の子どもたちの心ですとか、価値観、感性、こういったものを食育に触れることによって、引き出してあげようと考えています。
これも一つ作った言葉で、「educe食育」という名前、エデュケーションという、引き出すという意味でのeduce食育、こういったものを食育の一つの考えとしてプログラムを組んでおります。
  

 
日本の食文化の学び、農業体験や命の大切さ、ましてや栄養学や基礎知識はもちろんですけれども、一番大事にしているのは、伝える力のプレゼン力。親御さんにもお話しする機会もありますし、そこで働く先生にも話す機会があります。子どもたちにも話す機会があります。いかに知識を相手に伝えられる力を持つかということも、社内の中で教育訓練を実施しています。
  

 
このような年間カリキュラムを組みながら、年齢に合わせたさまざまなことをやっております。例えば、それぞれの二十四節気に基づいたメニューを作り、その時期になぜこういったものを食べるかということや、その時期に食べる由来を伝えています。
実際、このようなサービスによって、子どもには、おいしく食べるということで、非常に食べることへの興味、関心を持ったという会話、また、お母さんからは、学校を休まなくなった、子どもと食べ物の会話を日常の中でするようになった、保育園、幼稚園の先生からは、保護者の中で、あそこの園はおいしいものを出してくれているとか、こういったものをミールケアという会社がしているという評判を呼ぶような、最終的にはみんなにとって良い結果になることで、私たち会社の職員も、ああやって良かったと、そんなつながりがどんどん膨らみながら、お客さまからのご依頼をいただいております。

 

「日本educe食育総合研究所」の設立
昨年の11月、いろんな方々から、この考食師という資格に興味があると、お話をいただき始めました。そこで社内教育でやっていたものを受けていただくには、どうすればいいのかと考えたときに、それであればeduce総合研究所を設立し、資格認定を発行するところまで、全部頑張ってつくってみようかということを進めております。
食育と環境ということを大事にしながら、いいところで取れた食べ物の良さ、ましてや食育を通して感ずる、感性を高める良さ、そして、そのことによって、幸せで生き生きと育ち、成長する、そんな指導者を養成するということを目的に活動しています。
  

 
 

今は過去、今から未来へ
世の中がいろんなことでどんどん変わってく中、われわれの企業もやはり4次産業のIoTや人工知能やAIといったものを取り入れて、時代に合ったサービスの仕方というものを一つずつ模索しております。
  

 
子どもの給食を作るということはもちろん大事なこと、でもそのことを教える人をつくり、さまざまなサービスの仕方の内容を変えていくことで、幼稚園事業では、もっとロボット化できるようなことだとか、自分たちだけが作れるのではなく、人がつくれるような、指導もできるような、そういった事業展開をしてきたいなと。
また、ワーキングマザー事業では、小さなお子さんがいるお母さんたちの食生活の部分を、何かサポートできないかということで、さまざまな情報の配信ですとか、ものの提供ですとか、そういった会員サービスをこれから作っていきたいということ、そして、研究開発では、子どものアレルギー問題というのが昨今すごく重大な問題になっている中、誰でもおいしく食べられるような商品はもっとないのかというようなことを、社内に研究チームを作って商品を作っていこうと。
そして、食育ヴィレッジという形で、農業体験、商品開発、もしくはそこで食べて感じられる、そんな場所をつくりながら、活動をしております。
そんな活動をやることで、一つ食育という権威を持ちながら、またサービスをしながら、これに関わる方々がサービスを利用できるという仕組みを、これからプラットフォームビジネスという新しいミールケアのもう1個の柱の事業を作っていきたいというふうに考えているところです。

 

ミールケアのビジョン
食という大切なものを伝えてくということでは、子どもたちを中心に活動はしておりますが、やはり考食師という考え方を持つ、食の伝道師を社内に限らず、社外、もしくは日本も飛び出すぐらいの勢いで育てられるようなことをつくりながら、日本の社会をもっともっと良くできる、そんなふうにできればと考えています。
うちの社長の好きな言葉に、1人の力ではなかなか何もできないけれども、でもその1人の力があることによって、周りの人たちをどんどん幸せにする力が生むということを日々教えていただく中、一つの小さな光が社会全体を元気に、そんな思いを会社全員が掲げていくためには、まさに情熱を持って情熱でぶつかって、情熱でやっていくということを、今年度のわれわれの企業の行動目標として、「情熱に!情熱に!情熱を!」というこんな言葉にしております。
健康な社会をつくりたいという私たちの思いを、多くの方々とご一緒にするということ、われわれだけではできないことも、色んな方々とサービスを作っていくことに、もっと誇りを持つ時代がようやく来たなというふうに思っております。

(「SPRINGシンポジウム 2017 in 広島」より)

 

※株式会社ミールケアの「子どもたちに食文化を伝える『考食師』による給食サービス」は、第1回日本サ―ビス大賞経済産業大臣賞を受賞されました。