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経営者の声

2017年11月10日

株式会社物語コーポレーション 上級執行役員 営業企画部長 伊藤栄志 氏

経営理念を浸透するためのIT

 

(肩書、数字などは2016年7月講演当時のものです)

 

物語コーポレーションは、1949年に愛知県豊橋市でおでん屋を始めたのが創業でございます。現在、店舗は全国と上海に約370店舗展開をしています。主に郊外のロードサイドで駐車場も大きく構え、どちらかというとファミリー層をターゲットにしながら商売をさせていただいております。

 私たちの業績ですが、前期の結果ですが10期連続で増収増益達成できました。8年連続で2桁成長も達成しております。常に順調というわけではありませんが、既存店の前年比にこだわるという戦略を取っております。
 

 

個性が発揮できる会社づくり
既存店の前年比にこだわるには企業の体力を付けなければいけないですし、何より開発力と人財力が肝になると考えております。開発力は新しい商売を考えていくことはもちろん、既存店が良いのか悪いのか、良くない時にどういった立て直しするのか、もしくは現場からの要望、お客さまのニーズをどれくらい拾い上げられるのか、これも私たちの開発力だと思っています。
 開発力の源泉になるのが、個性が発揮できる人財がたくさんいて、その人たちが役職に関わらず意見が堂々と言える。その人財力こそが、今後、成長していく上でも大きな武器であり、課題でもあると考えています。
 

  

経営理念「Smile&Sexy」
私たちの経営理念は若干変わっておりまして、「Smile&Sexy」といいます。簡単に言うと会社とか組織に埋もれることなく自分自身の考えをやりたいようにやる、言いたいように言う、そういった自分の生き方を企業にとらわれることなく、自立した人財を一人一人が目指しましょう、これが私たちの経営理念であります。
この経営理念に共感した人に入社していただいて、その人たちが育って、結果、彼らが習熟してプロフェッショナルになっていく。そうやって優秀な人財が育っていくことこそが会社が成長する要因であると考えています。ですので、ここにこだわった取り組みに特化して多くのことをやっています。

その中から特徴的なもの、アナログなものとITなものと取り混ぜながらご紹介させていただきます。
  

募集・採用における取り組み
採用についてお話します。労働人口が減っており、苦戦する場面はかなり多いと感じています。なおかつ、東証1部企業ではありますけども、外食産業はあまり人気がなく、特に大学生が焼き肉屋さんの店長になりたいとか、ラーメン屋さんの店長になりたいと思って入社してくる人はほとんど皆無です。一番多いのは「Smile&Sexy」という経営理念に惹かれて入社してくる人です。会社に入ったらなんとなく組織に従わなきゃいけないのかなあとか、自分の言いたいことって隠しながら、それでも会社の中でお給料をもらうために働かなきゃいけないのかなって、学生たちは勝手にそう思っています。
入社前に、会社の紹介ではなくて「Smile&Sexy」の生き方、そういう生き方していいんだよと、会長が2時間半にわたり熱く語ります。その話に共感した学生が選考に進んでくれます。これが私たちにとって採用の一番大きなフックになっています。
 

 
内定式は大体10月1日に行いますが、ここでも個人を大切にしている、個人で生きなくてはいけないことを内定者に伝えるために、一人一人にオリジナルの内定証書をお渡しします。入社式においても一人一人にオリジナルの入社激励書を渡して、壇上に上がってもらい、その瞬間に大切な人からのメッセージが会場に流れるサプライズをします。本人たちは、自分の社会人生活をこうやって応援してもらっている、今までこんなに大切に育ててもらったということに気付きながら入社式を迎えるのです。
  

   

教育の取り組み
今度は入社した後の話になります。物語アカデミーという組織が当社にはあります。目的は経営理念の浸透とあわせて、定着した人たちがいかにプロになっていくか、店長になるまでのステップをきめ細かに段階を合わせて、なおかつ個対個で教育するプログラムを作っております。
  

 
人それぞれ、店長になる期間もばらばらです。それぞれに合わせた教育をしながら、キャリアプランを分けるような体制を取っております。

もう一つ、教育で大きな取り組みとして、eラーニングを大々的に活用しております。それまでは、全員集めて集合研修という形を取っていましたが、当然お金も掛かりますし、時間もかかります。そしてアカデミー講座の大半を知識の習得に費やしていました。個性、個性といいながら、一人一人にフォーカスした集合研修は、なかなかできていませんでした。今は、事前の課題も事後の課題もeラーニングでやります。その上で集まったときには、大半をグループ・ディスカッションであったり、グループ・ワークに費やしています。
  

 
一人一人にフォーカスした教育ができるというのが、今の利点です。eラーニングにより個々の習熟度合いを把握できるので、積極的に活用をしております。
  

全社的な取り組み「文化・風土づくり」
外食企業では、すぐ店長になれる会社も結構ありますが、私たちの場合は、何年もかけて店長になります。店長のポジションを高めたい、店長を憧れのポジションにしたい、店長を意思決定の場にしたい。そういうことを考えて、本社の玄関に全店長の写真を飾ることにしました。
辞令交付が終わった後、写真館に予約を取って自分の好きなポーズを2ポーズ撮るように指示を出します。写真には『I shall make a decision.』と書かれています。私は意思決定から逃れませんという宣言をしてもらい、頑張れと皆で応援する、こういう文化づくりをしています。
  

肩書では呼ばない
個人にフォーカスして全てのことに取り組んでおりますので、肩書では呼ばないようにしています。私は名字が伊藤と数多い名字ですから、新入社員からも栄志さんで誰も部長とは呼びません。個対個の関係を築くためにも、社長、部長かかわらず肩書では呼ばないようにしています。
ただ例外はありまして、先ほどの店長だけは、お客さまとのやりとりもありますから、店長と呼ぶことにしています。それ以外では基本肩書では呼ばないように、そういう文化づくりに努めております。
  

バースデーメール
物語ウェブと呼んでいるグループウェアがありまして、力を入れているのが全員発信です。これは、自分の考え、自分の生き方、自分がいいなと思っていること、もしくは嫌だなと思っていることを、堂々と発信しましょうということですが、なかなか全員発信ボタンを思い切って押せない。その練習台として、バースデーメールを10年近くやっています。簡単に言うと、誰かが誕生日を迎えたら、総務からその上司にメールが届きます。上司は全員発信で、きょうは誰々さんの誕生日ですと送信すると、その周りにいる人が、全員返信で何々さん誕生日おめでとうと返すのです。全員発信を通じて全部を見える化していく取り組みです。
  

 
常に会社の中で皆が何かを共有するというところに、グループウェアの物語メールが大きな役割を果たしています。その中で自分の意見を堂々と言える人、改善提案ができる人が生まれてきております。
  

元気と笑顔にあふれる朝礼
もう一つは、愛知、東京、大阪、福岡、上海にオフィスがありますので、五つつなげて全体朝礼を行っています。そこで役員が持ち回りでスピーチしますが、基本的には理念や自分の考えを話すようにしています。それに対してその場にいる人たちが質問をするなど、その一連をVTRに収めて当日のうちに全社に配信します。
本社が何を考えているか分からないということが多くありますが、わだかまりをなくすためにも、共有できるものは全て共有していくというスタンスでいます。将来的には会議もVTRに撮って全社に流したいと本気で思っています。
  

『人財力』が継続的な成長を生むサイクル
  

 
「Smile&Sexy」という理念に共感できる人財に入社してもらい、理念に沿って個対個で教育をしていく。従業員満足度を上げて、定着を図る。そして彼らが熟練したり慣れてくるにつれ、難しい調理もできるようになります。その繰り返しにより、他社とは違ったマニュアルを超えたサービスもできるようになってくるのです。
社長が日本一おせっかい好きな飲食大家族を目指すと公言していますので、おせっかいと言われるぐらいの飲食店になりたいと本気で思っています。それにはマニュアル一辺倒では絶対にたどり着きません。マニュアルが当たり前で、その上でその人の個性が光る、その人の判断で、意思決定でおせっかいができる、そういう人財をつくっていきたいと思っています。
理念に共感し実現している人財によって、初めて付加価値の高い私たちのサービスができると思います。これからも物語コーポレーションは、継続的な成長を図り、生産性の高い企業になっていきたいと考えております。

(「SPRINGシンポジウム 2016 in 高松」より)