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リーダーの声

2017年9月29日

株式会社テイ・エス・エス・プロダクション 営業部長 川口 修治 氏

海外番組を活用した観光インバウンドと
地域産品等の販路開拓

 

 (「SPRINGシンポジウム 2016 in 福岡」より)


 

テイ・エス・エス・プロダクションは、フジテレビ系列のテレビ新広島100パーセント出資の番組制作会社です。
私自身、深夜番組のADから始まってディレクターをやり、プロデューサーや構成作家などをこなしていますが、そういう番組を作る人間100人くらいの集団で、中四国エリアでは一番大きいと言われている会社です。

私たちのこれまでの取組みをまとめた動画がありますので、ご覧いただきたいと思います。

<VTR概要>
2007年、本格的なネット動画時代の到来を前に、広島のテレビ製作会社テイ・エス・エス・プロダクションが新規事業として立ち上げたプロジェクト、それが『Japan in Motion』。テレビマンの手でCOOL JAPANをネットで世界に発信しようと世界への挑戦が始まる。
2009年、フランスで日本の情報を紹介する人気ケーブルテレビ局、「NOLIFE」と『Japan in Motion』が出会います。みんなが日本を大好きになる番組を作ろうと志を同じくし、『Japan in Motion』のフランスでの放送がスタート。
「NOLIFE」からの「君たち日本人が本当に面白いと思うもの、そんな番組を届けてほしい」との要望もあり、多くの人気コーナーが生まれた。
中でも、きゃりーぱみゅぱみゅを起用した番組コーナーは大人気となり、始まって半年でフランスのJ-POPランキング1位に躍り出る快挙を達成。
2012年のJAPAN EXPOで行われた、当番組イベントでのライブでは、8000人の観客を動員。この現象が後の世界的なブレークのきっかけとも言われる。
番組では当初、地元広島の観光情報を中心に積極的にPR。広島県を訪れるフランス人観光客は年々増加し、国別外国人観光客数ランキングでフランスが第3位となる。
フランスで番組が話題になるにつれて、海外進出を狙う企業のサポートも番組でスタート。岡山県の桃太郎ジーンズは、パリの有名セレクトショップでの取り扱いが決定。その後欧米を中心に、20カ国78社との契約が成立。文化水準の高いフランスでの成功は世界中に波及効果をもたらした。
広島を代表する食文化、お好み焼きを海外に広めようと、オタフクソースとの現地プロモーションも実施。お好み焼きは1枚1650円という価格にもかかわらず、行列ができる大ヒット。2日間で売り上げ300万円の大成功となる。その後パリのオフィス街に広島風お好み焼きの店舗ができ、連日たくさんの現地フランス人でにぎわっている。

2014年、急成長を続けるASEAN市場に狙いを定め、タイでの『Japan in Motion』放送をスタート。
2016年1月に開催されたバンコクでのJAPAN EXPOは、3日間で40万人もの若者が集まる。
オタフクソースのお好み焼きでは、ソースのテストマーケティングを実施したところ、やはりタイでは辛口が人気。他にもバッグメーカー、熊野化粧筆などさまざまな企業と番組を活用した現地プロモーションを実施・大盛況となり、ASEAN進出の第一歩を歩み始めた。
アニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャーをきっかけに、日本の文化を知った人々が世界中にいる。こうした人々にもっと日本を好きになってほしい、たくさん日本に来てほしい。『Japan in Motion』は、熱くCOOLなJAPANを世界に届けていく。
(VTR終了)

 

「ハイ・サービス日本300選」の受賞
私たちがこの事業を始めた2007年は、YouTubeやスマホなどはまだなく、ホームページで情報発信をする時代でしたが、インターネットは世界に通じていることから、何か面白いことできないかと始めたのがウェブテレビでした。
当時の番組は、外国人が日本に来たときに困ること、例えば温泉の入り方や浴衣の着方など、日本で生活する上でのノウハウのようなものが多かったので、日本を冒険するイメージの『JAPAN QUEST』という企画で進めていたところ、2008年に「ハイ・サービス日本300選」に選んでいただきました。付加価値・付加機能を付けた情報発信について評価いただき、非常に弾みがついたのを覚えています。
  

『Japan in Motion』の3つの柱
『Japan in Motion』の番組コーナーは、大きく分けて3つあります。観光インバウンドにつながる「日本の旅」。音楽コーナーの「J-POPアルバムチャート」。そして「ニッポン最新情報・企画」。企業が海外に向けて行う販売促進につながります。
海外から来てもらう事を目的としたものと、海外へ売りに行く事を目的とした両方のアプローチができる番組にしています。
もともとウェブテレビから始めたので、番組を放送するだけでなく、ウェブサイトや動画配信を積極的に進め、最近はSNSも活用しています。Facebookでは4万8000「いいね!」がついておりますが、アンケート形式でプロモーションを実施したりしています。オタフクソースを使ったお好み焼きが、辛口がいいか甘口がいいかなどです。Facebookでプレゼント企画と題して事前アンケートをしたり、テストマーケティングができる仕組みにしています。
 

 

きゃりーぱみゅぱみゅさん、海外からブレーク
きゃりーぱみゅぱみゅさんとのコラボは、彼女がまだ日本でブレークする前のことでした。後年、彼女が日本よりフランスでブレークしていたことを安倍総理がコメントされ、海外での情報発信の形としてご紹介いただいたこともあります。
きゃりーぱみゅぱみゅさんのコーナーは『変身!原宿ガール!』。彼女は、「かわいい」のアイコンです。「原宿かわいい」という文化がありまして、そういうアイコンであることをうまく表現し、アーティストそのものを売り出すのではなくて、ファッションの世界をしっかり売り出すコーナーを作りました。JAPAN EXPOで観客動員数8000人、HARAJUKU KAWAii in Parisでは観客動員5000人という形で大きくなっていきました。ブレークしたのをきっかけに、テレビ新広島が広島で初めてのガールズイベント開催にこぎつけました。
 

  

 

あえてプロダクトアウトを目指す
姉妹番組として、『行きたがリーノ』という観光インバウンドを意識した、国内で見ても面白い、海外で見ても面白い番組を作り始めました。外国人の目線で日本を斬るのは非常に分かりやすいのですが、私たちのアプローチは、フランスNOLIFEのテレビ局プロデューサーや社長が言ってくれる「あなたたちが作ったものはそもそも面白い」ことを基準にしています。
外国人の目線で見たマーケットインという考え方で番組を作るものもあれば、私たちのようなプロダクトアウトも大切です。できるだけマーケットインを意識しながら、単なる情報発信だけではなく、アイドルや芸人、タレントさんが面白おかしく表現をすることで情報が引き立つ演出があると考えています。デザインなども同じだと思いますが、見せ方が大事なのです。
2014年6月には、「情報通信月間」で総務大臣表彰を頂きましたが、その後、オールアジアで通用する番組を作りたいと思い、11月からタイにて新たな取組みを始めました。タイのTRUE VISIONSという放送局で、20時から『行きたがリーノ』、20時半から『Japan in Motion』、ゴールデンタイムで30分番組を2つ放送しています。
 

 

2つのスキームで自走化
これまで説明したことを図式化して説明すると、一つは外国人観光客誘致という交流人口の拡大スキームです。もう一つは、地域の産品・製品の消費拡大の促進スキームです。インバウンドで海外から日本に入られて、地域産品を消費される場合と、海外に実際に打って出て、地域産品を販売の販路を開拓する2パターンがあると思います。
消費拡大の方法として、番組でプロモーションを実施します。今の時代に合っていると思うのが情報の多様性です。訴求するものが場所や商品であったり、それが機能をうたうものもあれば、開発ストーリーを伝えるものなど多種多様です。
そうなると、番組で1回放送して終わりではなく、Facebookでの紹介や、ウェブテレビなどで継続して視聴を可能にするなど、費用対効果の高いプロモーションができると考えています。
  

 

商品ごとにある最適なプロモーション
オタフクソースさんの事例がありましたが、熊野筆の晃祐堂さんは化粧筆で有名になりましたが、こちらも事前のテストマーケティングを実施し販売につなげました。鳥取のバッグメーカー・バルコスさんは、デザイナーとコラボするバッグ開発が得意なのですが、海外でも同様な販売につなげました。
最近は、海外での現地イベントを支社が取材して、全国でも放送される流れが出来ており、PRにつながっています。また最近、特に力を入れているのが、さまざまな媒体を活用したPRです。海外版Facebookや、現地旅行ガイドブックのフリーペーパーとのタイアップ、交通広告・列車広告を実施してみたり、うまく現地ネットワークをつなぎながらPRプロモーションをする流れが出来てきています。

今、商品やサービスが持つ絶対的価値のようなものを、どのように訴求できるのかを考えています。見せ方も一つだとは思いますが、サービス産業の多様性をプロモーションしようとした場合、あえてクローズで行うプロモーションもあります。口コミのみで拡散して、情報自体に価値を持たせる手法もあります。商品の持っている価値は、プロモーション戦略に付随して表現していくものだと思いますが、多様化している時代の中、私たちも皆さまの一助になればと考えています。